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問71 15歳の男子A、中学3年生。Aは、推薦で高校に進学が決まってから、友人Bとよく遊んでいた。ある日、Bがゲームセンター内の窃盗で逮捕された。Aは直前までBと一緒にいたが、警察で共犯ではないと認められた。動揺していたAは教師の勧めで、スクールカウンセラーCに話を聴いてもらった。AはCに、「その日は、B が置きっぱなしの財布を見つけ、盗んで遊ぼうと誘ってきた。迷ったが、そうすれば進学できなくなり、親にも迷惑をかけると思い、Bにやめた方がいいと言って帰宅した」と述べた。Bの非行にAが加担しなかった理由を理解する上で、適合する非行理論として、最も適切なものを 1 つ選べ。
- A. K. Cohen の非行下位文化理論
- E. H. Sutherland の分化的接触理論
- H. S. Beckerのラベリング理論
- R. K. Merton の緊張理論
- T. Hirschi の社会的絆理論
問72 23歳の男性A、会社員。大学時代はサークル活動で中心的な存在であった。入社2か月後に行われたストレスチェックの結果、高ストレス者に該当するか否かを判断する補足的な面接を公認心理師Bが行った。Aのストレスプロフィールは次のとおりであった。「心理的な仕事の負担」は質、量ともに低い。「仕事のコントロール度」、「技能の活用度」、「仕事の適性度」及び「働きがい」が低い。「上司からのサポート」と「同僚からのサポート」は高い。ストレス反応は「いらいら感」が強い。「仕事や生活の満足度」は低いが、「家族や友人からのサポート」は高い。 BのAへの面接で確認すべき事項として、優先度の高いものを1つ選べ。
- 長時間労働の有無
- 家庭生活のストレスの有無
- 精神的な疾患の既往の有無
- 職場の人間関係に関する問題の有無
- 仕事の与えられ方に関する不満の有無
文章の読解力の問題ですね。サービス問題です。
問73 21歳の女性A、理工系の大学3年生。中学校の理科教科の教師を目指し、専門科目に加えて教員免許取得に関する科目も履修している。 しかし、最近アルバイトなどの経験を通して、他者と交流する活動や人に教えることへの興味が低いことに気が付いたため、大学卒業後の職業選択に迷っている。同じ学科の友人や先輩たちと進路について話し合いをするうちに、人と関わる教育などの活動よりも道具や機械を操作する活動に興味が強いことにも気が付いた。そこで、将来の進路として技術職に就くことを考えるようになった。A の興味や適性と考え直した進路との関係を説明する理論として、最も適切なものを 1 つ選べ。
- D. E. Super のライフ・キャリア・レインボー
- E. H. Schein の 3 つのサイクル
- J. D. Krumboltz の計画された偶発性
- J. L. Holland の六角形モデル
- N. K. Schlossberg のトランジション
キャリア理論を参照。
問74 29歳の男性A、会社員。経理関係の部署から営業部に異動後半年経過した頃から、意欲が減退し、出社できない日もあり、上司から社内の心理相談室を紹介され、公認心理師Bが面接した。A は、初めての営業の仕事であったが、同僚や上司にうまく頼ることができず、仕事になかなか慣れることができないという。A は、もともとコミュニケーションが苦手なところがあったが、今では人と会うのも怖くなっており、また、取引先との円滑なやりとりができそうにないと、営業の仕事を続けることについての不安を訴えている。A のアセスメントにおいて、テストバッテリーに含める検査として、不適切なものを 1 つ選べ。
- AQ-J
- BDI-II
- IES-R
- LSAS-J
- STAI
問75 22歳の男性A。Aは、同居している父親を台所にあった果物ナイフで切りつけ、全治1か月の怪我を負わせた傷害事件で逮捕された。Aに犯罪歴はない。A の弁護人によると、A は一人っ子で、両親との三人暮らしである。中学校入学直後から不登校になり、これまで短期のア ルバイト経験はあったものの、本件当時は無職であった。動機についてAは、「近所の人たちが自分の秘密を全て知っているのは、親父が言っているからだ。昔から殴られていたことの恨みもあった。だから刺した」と述べている。A の情状鑑定で検討する事項として、誤っているものを 1 つ選べ。
- 性格の特性
- 認知の特性
- 家族の関係性
- 心神喪失状態の有無
- 犯行当時の生活状況
情状鑑定とは、訴因事実以外の情状を対象とし、裁判所が刑の量定、すなわち被告人に対する処遇方法を決定するために必要な智識の提供を目的とする鑑定。心神喪失状態の有無を鑑定するのは精神鑑定。
問76 10歳の女児A、小学4年生。小学3年生の3月に限局性学習症/限局性学習障害〈SLD〉と診断された。新学期が始まり、スクールカウンセラーBはA の担任教師Cから、Aに対する支援について相談を受けた。Cの情報によると、Aはおとなしく穏やかな性格であり、他の児童との交流は良好である。一方で、語彙が乏しいため、自分の気持ちを適切に表現できない様子がみられる。授業中は、板書をノートに書き写すことに時間がかかっている。結果として、学習に遅れが生じている。 B の最初の対応として、最も適切なものを 1 つ選べ。
- 個別の指導の時間をとるよう C に助言する。
- A の感情の言語化を促すように C に助言する。
- A に知能検査を実施して、認知機能の偏りを把握する。
- 授業中の学習活動を観察して、A の学習方略とつまずきを把握する。
最初の対応としては、④が適切ということは常識的な範囲で回答可能と思われる。
①については、本人や保護者の希望、及び学校内での調整等必要な支援である
②については、感情の言語化ができない背景に、SLDが関連してるであろう語彙力の乏しさがあるにも関わらず、言葉を促すことはAを苦しめることになる。
③については、スクールカウンセラー の活動として知能検査を実施することは、必ずしも適切ではないという点と本人や保護者の了解もなく、担任やスクールカウンセラー のみの判断で検査を行うことは問題。
問77 20歳の男性A。現在、精神科病院に入院中である。A の母親はすでに他界している。A は19歳のときに統合失調症を発症し、2 回目の入院である。近々退院予定であり、退院後は、父親Bとの二人暮らしとなる。BはAに対して、「また入院したのは、自分で治そうという気がないからだ」、「いつも薬に頼っているからだめなんだ。もっとしっかりしろ」とたびたび言っている。A の主治医は、公認心理師Cに退院後の再発予防に有用な支援を検討してほしいと依頼した。このとき C が実施を検討すべきものとして、適切なものを2つ選べ。
- A に対する SST
- B に対する回想法
- B に対する心理教育
- A に対する TEACCH
- A と B に対するリアリティ・オリエンテーション
- A に対する SST SSTは、デイケアなどで統合失調症によって低下した社会技能や生活技能を回復するために実施されている。
- B に対する回想法 認知症症状に用いられる
- B に対する心理教育 Aの症状に対して適切に対応するために、Bへの心理教育は適切
- A に対する TEACCH 自閉症の療育に用いられる
- A と B に対するリアリティ・オリエンテーション 見当識障害を解消するための訓練
問78 小児科外来で、医師が2日前に階段から転落した乳幼児の診察中に、虐待が疑われる外傷を認めた。医師が更に診察を行う間、乳幼児を連れてきた親の面接を依頼された公認心理師の対応として、最も適切なものを1つ選べ。
- 親の生育歴を聞く。
- 親の悩みや感情を聞く。
- 受傷起点の詳細を聞く。
- 受傷と受診の時間差の理由を聞く。
- 他の家族が受傷に関与している可能性を聞く。
受傷起点は、受傷機転の間違いではないかと指摘がある。受傷機転とは、打撲や骨折等の外傷を負うに至った原因や経緯のことをいう。いつ、どこで、どのような経緯で、どのようにして、どのような作用が加わって、その外傷が発生したか、という内容のことを意味する。②が正答であることも疑問視されている問題である。虐待が疑われるケースの初期対応として、親の悩みや感情を聞くことがこの場面において適切と明確に言えるほどの情報量はない。親の生育歴を聞くよりかは適切ではあると思うが…。医師が子どもの診察を終えた後に、医師から親に受傷機転を聞くならば…しかし、そのような情報はないので…。
問79 高齢者福祉領域で働く公認心理師の業務について、最も適切なもの を 1 つ選べ。
- 利用者と家族が安全に面会できるように、感染症予防対策マニュアル を単独で作成した。
- 経済的虐待が疑われたが、当事者である利用者から強く口止めされたため、意向を尊重して誰にも報告しなかった。
- カンファレンスで心理的アセスメントの結果を報告する際、分かりやすさを優先して専門用語の使用を控えて説明した。
- 訪問介護員から介護負担が大きい家族の情報を入手し、その家族宅を訪問して、要介護者に対してMMPI を実施した。
- 面接中に利用者の片側の口角が急に下がり、言語不明瞭になったが、話す内容がおおむね分かるため予定時間まで面接を継続した。
常識の範囲の読解力があれば、正答できると思われる。
問80 G. W. Allport や R. B. Cattell らの特性論の考えを引き継ぎ、L. R. Goldbergが指摘した性格特性理論の基盤となっている統計手法として、適切なものを1つ選べ。
- 因子分析
- 分散分析
- 共分散分析
- 重回帰分析
- クラスター分析
性格特性論を参照。
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