キャリア理論

D. E. Super のライフ・キャリア・レインボー

1950年代にD. E. Super(スーパー)が提唱した理論で、古典的な理論となっているが、この概念は現代でも多く活用されている。人が生まれてから死ぬまでの間ライフ・キャリアをどのように構成するのか視覚的に描写したものである。 ライフ・キャリア・レインボーでは、キャリアを役割時間軸の 2 次元で捉える。


出典:文部省「中学校・高等学校進路指導資料第1分冊」平成4年

ライフ・スペース

役割の方は「ライフ・スペース(life space)」と呼ばれ、以下の9つで分類されている。

  1. 子供
  2. 学生
  3. 余暇人
  4. 市民
  5. 労働者
  6. 配偶者
  7. 家庭人
  8. 年金生活者

また、役割の重要性として3種類が挙げられている。

  1. 役割コミットメント
  2. 役割参加
  3. 役割知識

ライフ・ステージ

時間軸の方は、「ライフ・ステージ(life stage)」と呼ばれ、以下の5段階で分類される。

  1. 成長期(0〜15歳)
  2. 探索期(15〜25歳)
  3. 確立期(25〜45歳)
  4. 維持期(45〜65歳)
  5. 解放期/下降期(65歳〜)

E. H. Schein の 3 つのサイクル

E. H. Schein(シャイン)は、人は3つのサイクルが相互に影響し合って生きているとし、それぞれのサイクルに段階があるした。以下がその3つである。

  1. 生物学的・社会的
  2. 家族関係
  3. 仕事・キャリア

J. D. Krumboltz の計画された偶発性

J. D. Krumboltz(クランボルツ)は計画された偶発性(プランドハプンスタンス理論)を提唱した。キャリアにおいて、実際8割は予想しない偶発的なことによって決定される。すべてが計画通りに行くわけはなく、偶然起きたことを肯定的に捉え、キャリアに活かすことに焦点を置いた。

その計画された偶発性は以下の行動特性を持っている人に起こりやすいと考えられる。

  1. 好奇心(Curiosity)
  2. 持続性(Persistence)
  3. 柔軟性(Flexibility)
  4. 楽観性(Optimism)
  5. 冒険心(Risk Taking)

J. L. Holland の六角形モデル

J. L. Holland(ホランド)は、人の性格と職業を6つのタイプに分類した。

RIASEC(ホランドコード)

コード 能力・興味対象 職業
現実的(Realistic) 物・道具・機械・現実的・規則的・秩序 農業、建築家、エンジニア、
研究的(Investigative) 物理学・生物学・文化的現象など 抽象的・創造的 教授、物理学者、医師
芸術的(Artistic) 芸術的作品の創造 クリエイター、デザイナー、画家
社会的(Social) 情報伝達、訓練・教育 教師、聖職者、ソーシャルワーカー
企業的(Enterprising) 組織貢献・他者貢献 会社員、バイヤー、セールスマン
慣習的(Conventional) 情報整理 会計、アクチュアリー、FP

N. K. Schlossberg のトランジション

N. K. Schlossberg(シュロスバーグ)は社会で起こる様々な人生上の出来事をトランジション(転機)として捉えた。

トランジション(転機)

トランジション(転機)を3要素に分類している。

  1. 期待していた出来事が起きたとき
  2. 予想していなかった出来事が起きたとき
  3. 期待していた出来事が起こらなかったとき

イベント型

就職、転職、失業、引越、結婚、出産、病気、親族の死等、予期したことが起こる

ノンイベント型

希望の進学・就職ができない、昇進できない、結婚できない、子どもができない等、予期したことが起きない

トランジション(転機)を乗り越える4S

  1. 状況(Situation):原因やその問題が一時的かどうかなど状況理解
  2. 自己(Self):その状況に置かれている自身の気持ちや考えなどを把握
  3. 支援(Support):自分さサポートしてくれる人やモノなどの資源を把握
  4. 戦略(Strategy):これからの行動計画

第5回公認心理師試験に出題

21歳の女性A、理工系の大学3年生。中学校の理科教科の教師を目指し、専門科目に加えて教員免許取得に関する科目も履修している。 しかし、最近アルバイトなどの経験を通して、他者と交流する活動や人に教えることへの興味が低いことに気が付いたため、大学卒業後の職業選択に迷っている。同じ学科の友人や先輩たちと進路について話し合いをするうちに、人と関わる教育などの活動よりも道具や機械を操作する活動に興味が強いことにも気が付いた。そこで、将来の進路として技術職に就くことを考えるようになった。A の興味や適性と考え直した進路との関係を説明する理論として、最も適切なものを 1 つ選べ。

  1. D. E. Super のライフ・キャリア・レインボー
  2. E. H. Schein の 3 つのサイクル
  3. J. D. Krumboltz の計画された偶発性
  4. J. L. Holland の六角形モデル
  5. N. K. Schlossberg のトランジション
解答

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