第4回公認心理師試験71〜80

問71 39歳の男性A、会社員。Aは、中途採用で入社して10年目になるが、これまで会社内での人付き合いは良好で、安定した仕事ぶりから上司の信頼も厚い。最近になり、Aは、キャリアに希望が持てないと企業内相談室に来室した。「今この会社を辞めたら損失が大きいので、この先も勤めようと思う」と述べる一方で、「この会社離れるとどうなるか不安である」、「今この会社を辞めたら生活上の多くのことが混乱するだろう」と述べた。
Aの発言内容から考えられるAの組織コミットメントとして、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 規範的コミットメント
  2. 行動的コミットメント
  3. 情緒的コミットメント
  4. 存続的コミットメント
  5. 態度的コミットメント
解答

問72 53歳の女性A。もともと軽度の弱視がある。大学卒業後、管理栄養士として働いていたが、結婚後、出産を機に退職し、その後、職には就いていない。2年前に一人娘が就職し一人暮らしを始めた頃から、抑うつ的になることが増え、身体のほてりを感じることがしばしばあり、頭痛や倦怠感がひどくなった。また、これから何をしてよいのか展望が持てなくなり、不安な状態が続いていた。しかし、最近、かつて仕事でも趣味でもあった料理を、ボランティアで20歳から30歳代の女性らに教える機会を得て、彼女らとの会話を楽しみにするようになっている。
Aのここ数年来の心身の状態として、該当しないものを1つ選べ。

  1. 更年期障害
  2. 空の巣症候群
  3. アイデンティティ危機
  4. 生成継承性〈generativity〉
  5. セルフ・ハンディキャッピング

問73 50歳の女性A。 抑うつ気分が続いているために精神科に通院し、 院内の公認心理師Bが対応することになった。7か月前にAの17歳の娘が交際相手の男性と外出中にバイクの事故で亡くなった。事故からしばらく経ち、 Aは、事故直後のショックからは一時的に立ち直ったように感じていたが、 3か月ほど前から次第に抑うつ状態となった。「どうしてあの日娘が外出するのを止めなかったのか」と自分を責めたり、急に涙があふれて家事が手につかなくなったりしている。
 BのAへの対応として、不適切なものを1つ選べ。 

  1. 悲しみには個人差があるということを説明する。
  2. 娘の死を思い出さないようにする活動がないか、 一緒に探索する。
  3. Aが体験している様々な感情を確認し、表現することを援助する。
  4. 子どもを亡くした親が体験する一般的な反応について、情報を提供する。
  5. 娘が死に至った背景について、多様な観点から見直してみることを促す。 
解答

問74 35歳のA、公立中学校のスクールカウンセラー。近隣の中学校で、いじめが原因と疑われる生徒の自殺が起きた。Aは、教育委員会から緊急支援のために当該中学校に派遣された。Aは、緊急支援の内容を事前に校長と相談した上で、介入を行うこととなった。中学校の現在の様子は、生徒の保健室の利用が増えてきており、生徒や保護者の間では、自殺についての様々な臆測や噂も流れ始めている。
Aが行う緊急支援として、不適切なものを1つ選べ。

  1. 動揺している生徒に対して、個別に面接を行う。
  2. 動揺している保護者に対して、個別に面接を行う。
  3. 教師に対して、自身の心身のケアについての心理教育を行う。
  4. 自殺をした生徒に対するいじめの有無について、周囲の生徒から聞き取りを行う。
  5. 教師に対して、予想される生徒のストレス反応とその対処についての心理教育を行う。
解答

問75 70歳の女性A。Aは、Aの夫である会社役員のBに付き添われ、開業している公認心理師Cのもとを訪れた。Bによると、Aは自宅近くのスーパーマーケットで大好きなお菓子を万引きし、店を出てから食べているところを警備員に発見されたとのこと。Aは、「万引きはそのときが最初で最後であり、理由は自分でもよく分からない」と述べるとともに、同居している半身不随のBの母親の介護を一人で行っているため自分の時間を持てないことや、Bが介護はAの仕事であると言っていることへの不満を述べた。AとBは、Cに対してAが二度と万引きしないようになるための助言を求めている。
CのAへの理解として、不適切なものを1つ選べ。

  1. Aは、窃盗症の疑いが強い。
  2. Aは、ストレスへの対処力が弱まっている。
  3. AとBの夫婦間コミュニケーションが不十分である。
  4. Aにとっては、Bの母親の介護が負担になっている。
  5. Aに器質的疾患があるかどうかを確認する必要がある。
解答

問76 20歳の女性A、大学3年生。Aは、母親Bと精神科を受診した。Bによると、Aは、1か月前に親友が交通事故に遭うのを目撃してから、物音に敏感になり不眠がちで、ささいなことでいらいらしやすく、集中力がなくなったという。一方、初診時にAは、「事故のダメージはない。母が心配し過ぎだと思う」と声を荒げ、強い調子でBや医師の話をさえぎった。医師の依頼で、公認心理師CがAの状態把握の目的で心理検査を施行した。検査用紙を渡すと、Aはその場で即座に記入した。結果は、BDI-Ⅱは10点、IES-Rは9点であった。
CがAの心理検査報告書に記載する内容として、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 心理検査の得点やBの観察、Aの様子からは、PTSDが推測される。
  2. 心理検査の得点からはAのPTSDの可能性は低いため、支援や治療が必要なのは過度に心配するBである。
  3. 心理検査の得点からはPTSDの可能性が高いが、Aが否定しているため、結果の信ぴょう性に問題がある。
  4. 心理検査の得点からはPTSDの可能性は低いが、その他の情報と齟齬があるため」、再アセスメントが必要である。

(注:「PTSD」とは、「心的外傷後ストレス障害」である。)

解答

問77 7歳の男児A、小学1年生。Aは、スクールカウンセラーBの相談室の開放時間に、よく訪れていた。最近、Aが学校に連絡なく2日間欠席したため、担任教師と一緒にBがA宅を家庭訪問した。Aは、アパートの階段下に座っていたが、最初、Bらの質問に何も答えなかった。やがて、「お父さんがお母さんを叩いている。家ではけんかばかりだし、僕も叩かれることがある」と話した。「他の人にけんかのことを話すとお父さんとお母さんに叱られる」とも訴えた。
Bや学校がとるべき初期対応として、適切なものを2つ選べ。

  1. Aの両親と面談をして、信頼関係の構築を図る。
  2. Aに両親のけんかの原因や頻度などを詳しく質問する。
  3. 児童虐待の確証を得られるよう、近隣住民から情報収集する。
  4. Aから聞いた発言やその際の表情・態度をそのまま記録しておく。
  5. 校内で協議の上、市町村の虐待対応担当課又は児童相談所に通告する。
解答
④、⑤

児童虐待を参照。

問78 公認心理師が担当する成人のクライエントに関する情報を、本人の同意なく開示することについて、秘密保持義務違反に当たるものはどれか、最も適切なものを1つ選べ。

  1. クライエントが、友人に危害を加える可能性が高い場合、当事者に知らせる。
  2. クライエントが、1歳の娘の育児を放棄している場合、児童相談所に通報する。
  3. 所属する医療チーム内で、クライエントの主治医及び担当看護師と情報を共有する。
  4. クライエントが、自殺を企図する可能性が高い場合、同居している保護者に連絡する。
  5. 別居中の母親から音信不通で心配していると相談された場合、クライエントの居場所を教える。
解答

問79 教育相談の現場での遊戯療法において、小学4年生の女子Aが、「授業が分からない」、「友達がいなくて学校に居場所がない」、「お父さんがお布団に入ってくる」、「おばあちゃんが入院中で死なないか心配」と話した。
公認心理師として、最も優先的に考慮するべきものを1つ選べ。

  1. Aの学力
  2. Aの祖母の症状
  3. Aの父親の行動
  4. Aの学校での居場所
  5. Aのソーシャル・スキル
解答

問80 傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする職種として、正しいものを1つ選べ。

  1. 看護師
  2. 介護福祉士
  3. 社会福祉士
  4. 理学療法士
  5. 精神保健福祉士
解答

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