第1回公認心理師試験過去問題121〜130

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問121 C.R.Rogersによるクライエント中心療法における共感的理解について、誤っているものを1つ選べ。

  1. 建設的な方向に人格が変容するために必要な条件の1つである。
  2. セラピストが共感的理解をしていることがクライエントに伝わる必要がある。
  3. セラピストの内的照合枠に沿って、クライエントが感じている世界を理解することである。
  4. クライエントの内的世界を「あたかもその人であるかのように」という感覚を保ちながら理解することである。
解答

自己理論を参照。

共感的理解は、無条件の肯定的配慮、純粋性(自己一致)とともに、セラピストに必要な基本的態度としたのが、C.R.Rogersによるクライエント中心療法である。共感的理解は、クライエントの内的世界を理解していくものであり、セラピストの内的照合枠に沿うのではない。

問122 学校における心理教育的アセスメントについて、誤っているものを1つ選べ。

  1. 一定のバッテリーからなる心理検査の実施が必須である。
  2. 学校生活における子どもの観察が重要な要素の1つである。
  3. 心理教育的援助サービスの方針や計画を立てるためのプロセスである。
  4. 複数の教師、保護者、スクールカウンセラーなどによるチームで行われることが望ましい。
解答

学校で心理検査を実施することは、稀である。特に、枠組みの確保が難しい場所で、投影法検査のような心理検査を実施することは適当ではない。

問123 学校における教職員へのコンサルテーションに含まれるものとして、誤っているものを1つ選べ。

  1. 児童生徒への個別及び集団対応に関する助言や援助
  2. 児童生徒への心理教育的活動の実施に関する助言や援助
  3. ケース会議などの教育相談に関する会議における助言や援助
  4. 困難な問題に直面している教職員に代わる保護者などとの面談の実施
解答

コンサルテーションとは、異なる専門性をもつ者同士が、抱えている問題・課題について検討するプロセスをいう。他の専門家を援助する者をコンサルタント(スクールカウンセラー)、援助を受けるものをコンサルティ(教師)という。
コンサルティ自身が、学校現場で抱えている問題について、効果的に解決できるように援助する取組。

コンサルティである教師に代わって面談を実施することは、コンサルテーションとは言わないため、④が間違い。

問124 巨大な自然災害の直後におけるサイコロジカル・ファーストエイドについて、適切なものを2つ選べ。

  1. 被災者の周囲の環境を整備し、心身の安全を確保する。
  2. 被災者は全て心的外傷を受けていると考えて対応する。
  3. 被災体験を詳しく聞きだし、被災者の感情表出を促す。
  4. 食糧、水、情報など生きていく上での基本的ニーズを回復する方法を自ら見つけられるように支援する。
  5. 被災者のニーズに直接応じるのではなく、彼らが回復する方法を自ら見つけられるように支援する。
解答
①、④

詳しくは、サイコロジカル・ファーストエイドを参照。

問125 高齢期の心理学的適応について、正しいものを2つ選べ。

  1. ソーシャルコンボイを維持又は補償できるかということは適応を左右する要因の1つである。
  2. 退職後は以前の高い活動性や社会的関係から、いかに速やかに離脱できるかによって左右される。
  3. 能力低下への補償として、活動領域を選択的に限定し、従来とは異なる代替方略を用いることが有効である。
  4. 未来志向的に自身のこれからを熟考させることは、自身の過去への関心を促し回想させるよりも有効とされている。
  5. 適応が不安定になる1つの要因として、高齢期になると流動性知能に比べて結晶星知能が著しく低下することが挙げられる。
解答
①、③

①のソーシャルコンボイについては正しい説明となっている。コンボイ・モデルを参照。

②は、離脱理論に関連しているため、そちらを参照。離脱理論は、活動理論やさらにそれらを発展した継続性理論などに反論されている。

③は、SOC理論について書かれたもので、正しい説明となっている。

④は、高齢期において、過去を回想することは、パーソナリティの再構築が起こるなど、様々な研究で有効とされているため、間違い。

⑤は、逆。流動性知能が低下していく。

問126 WHO〈世界保健機関〉によるICF〈国際生活機能分類〉の障害やその支援に関する基本的な考え方について、正しいものを2つ選べ。

  1. 生活機能と障害の状態は、健康状態、環境因子及び個人因子が相互に影響し合う。
  2. 生活機能の障害は、身体の機能不全によって能力低下が引き起こされる中で生じる。
  3. 障害とは、心身機能、身体構造及び活動で構成される生活機能に支障がある状態である。
  4. 障害とは、身体的、精神的又は知的機能のいずれかが一般の水準に達しない状態が継続することである。
  5. 障害への心理的支援においては、診断名ではなく、生活の中での困難さに焦点を当てることが重要である。
解答
①、⑤

詳しくは、ICFを参照。

問127 特別支援教育における通級指導について、正しいものを2つ選べ。

  1. 中学校では行われない。
  2. 知的障害は対象にならない。
  3. 特別支援学校の教員が担当する。
  4. 障害者総合支援法に定められている。
  5. 自立活動と各教科の補充指導が行われる。
解答
②、⑤

学校教育法施行規則に規定されている。

第百四十一条
前条の規定により特別の教育課程による場合においては、校長は、児童又は生徒が、当該小学校、中学校、義務教育学校又は中等教育学校の設置者の定めるところにより他の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部において受けた授業を、当該小学校、中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程において受けた当該特別の教育課程に係る授業とみなすことができる。

一 言語障害者
二 自閉症
三 情緒障害者
四 弱視者
五 難聴者
六 学習障害者
七 注意欠陥多動性障害者
八 その他障害のある者で、この条の規定により特別の教育課程による教育を行うことが適当なもの

第百四十一条
前条の規定により特別の教育課程による場合においては、校長は、児童又は生徒が、当該小学校、中学校、義務教育学校又は中等教育学校の設置者の定めるところにより他の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部において受けた授業を、当該小学校、中学校若しくは義務教育学校又は中等教育学校の前期課程において受けた当該特別の教育課程に係る授業とみなすことができる。

中学校が対象と明記されているため、①は間違い。また、各号に知的障害が含まれていないため、②は正しい。

③は、通級指導教室が特別支援学校に設置されているとは限らず、通常の小学校、中学校において、特別支援学級の担任が受け持つことも多い。そのため、間違い。

学校教育施行規則に定められているため、④は間違い。

学習指導要領によると、通級によると
通級指導は、障害の状態に応じた特別の指導(自立活動の指導等)を特別の指導の場(通級指導教室)で行うことから、通常の学級の教育課程に加え、又はその一部に替えた特別の教育課程を編成することができるとしているため、⑤は正しい。

問128 日本で開発された心理療法について、正しいものを2つ選べ。

  1. 森田療法における入院療法では、最初の1週間は終日横になったままで過ごす。
  2. 森田療法では、不安を「あるがままに」受け止めた上で、不安が引き起こす症状の意味や内容を探求していく。
  3. 内観療法における集中内観では、指導者を含め他人と一切話をしてはならない。
  4. 内観療法では、「してもらったこと」、「して返したこと」、「迷惑をかけたこと」及び「して返したいこと」という4項目のテーマが設定されている。
  5. 動作法では、心理的な問題の内容や意味を心理療法の展開の主な要因としては扱わない。
解答
①、⑤

①と②については、森田療法を参照。

③と④については、内観療法を参照。

⑤については、臨床動作法を参照。

問129 心身症について、正しいものを2つ選べ。

  1. 社会的に不適応を来すことが多い。
  2. リラクセーション法の有効性が高い。
  3. 発症や経過に心理社会的要因が関与する身体疾患のことである。
  4. 発症の契機が明らかになると、改善の方法も明らかになることが多い。
  5. 病気の症状と心理社会的要因との間には象徴的な関連が認められることが多い。
解答
②、③

心身症を参照。

①は、むしろ過剰適応の傾向が強いため間違い。社会的に不適応を起こしやすいのは不安障害や強迫性障害などである。

自律訓練法などのリラクセーションは、コーピングとしては有名な方法であるため、②は正しい。

③はその通り。心理的社会的なストレスが発症や経過に関与している。

発症の契機に焦点を当てるのではなく、あくまでも身体症状の治療と心理的なアプローチ、生活習慣の改善など、症状ベースで治療をしていくことが重要。

⑤は、不安障害や強迫性障害のことを言っている。

問130 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の各段階で事業者が行うことについて、適切なものを2つ選べ。

  1. 休業の開始時には、傷病手当金など経済的保障について説明する。
  2. 職場復帰の可否については、産業医の判断があれば、主治医の判断は不要である。
  3. 職場復帰の可否を判断するために、職場復帰支援プランを本人に提示し、本人の意思を確認する。
  4. 最終的な職場復帰は事業者が決定する。
  5. 職場復帰後は、あらかじめ決めた職場復帰支援プランに沿うようフォローアップする。

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