中日新聞3月13日の「医人伝」の記事に共感 星ヶ丘マタニティ病院 井口敏之医師

中日新聞3月13日の「医人伝」で名古屋ではかなり有名な病院、星ヶ丘マタニティ病院の井口敏之医師が

とりあげられていた。その考えに深く共感したので、以下に全文掲載。

 

 産婦人科のクリニックに併設された小児科に勤務する。役割は実に幅広い。年間八百件を超すお産のうち、二割近くは新生児の治療が必要。お産に立ち会うため当直をぢ、外来では健診や予防接種、風邪など一般的な症状を診つつ、母親の産後うつにも気を配る。一方で、子どもの摂食障害や発達障害、不登校に伴う体の変調など、心や神経に関する疾患に取り組んできた。

特に摂食障害は、心身両面へのきめ細かな対応が求められ、やせが重症化すれば命を落とすリスクもある。敬遠する医師もいるが「とてもやりがいがある」と言い切る。「患者の多くは『手のかからない良い子』だった。思春期を迎えて勉強や友人関係でしんどくなり、病気にとりつかれる」と典型のパターンを説明する。「治療は病気から脱出し、その子らしい人生を歩んでいくお手伝いをする重要な仕事」と自負している。

入院の場合はまず、一日千キロカロリー程度の食事を完食することを目指す。患者に体重増加への強い恐怖があるため、毎日回診して太らないことを伝える。おなかをマッサージして胃腸の働きを促し、患者が気持ちを伝えられるように交換日記をすることも。

子どもとまっすぐ向き合う姿勢は、経験や出会いの中で培われたものだ。中学三年生の時、母親がくも膜下出血で亡くなった。夜中に頭痛を訴えて倒れ、あっという間に。何もできなかった悔しさから医師を志した。

数日前、一緒に出かけた際、列車に乗り遅れそうになったため、母とともにホームを走った。母の死からしばらくは「走らせた自分のせいだ」と思い込み、「明日の朝には自分も生きていないかも」とおびえた。高校3年生の時には原因不明の吐き気も。自身の変化が、心身症に関心を持つきっかけになった。

名古屋市立大に進学し、心身障害児や家族を支援するサークルに所属。「本人や家族の気持ちを考えることから始める。医師は病気ごとに患者を分けて考えがちだが、その子その子を見ることが身についた」。最初の病院では、研究熱心な先輩との出会いもあった。

今の病院に赴任して二十年。発達障害の相談など、自身の技量を求められる機会は増している。極意は何か。
「結局は人と人。信頼関係が大事なのでうそは絶対につかない。子どもにはすぐ見抜かれる」と敬意を込めて話す。

中日新聞3月13日「医人伝」(小中寿美)

小児科、児童精神科、心療内科は、どこも予約がいっぱいで、

各県の療育センターは、半年〜1年待ちという異常事態。

病院に通わなければ、学校に通うことすらままならないということは、異常というしかない。

それはもはや、個ではなく、全体の問題であるということを顕著に示している。

早急に学校・社会システムを見直さなければいけない。

 

そんな中だからこそ、星ヶ丘マタニティ病院の井口敏之医師の言葉が際立つ。

3分診療が当たり前で、診察中一度も患者の顔を見ない医者(忙しさとは別の理由かもしれませんが。笑)が大勢いる中

「本人や家族の気持ちを考えることから始める。医師は病気ごとに患者を分けて考えがちだが、その子その子を見ることが身についた」

「結局は人と人。信頼関係が大事なのでうそは絶対につかない。子どもにはすぐ見抜かれる」

と発言できることは、当たり前ではない。

どうせ薬の処方だけしかしてくれないと、医療へのリファーを躊躇いがちだが

こういった病院が増えてくれると、スクールカウンセラー としても非常にありがたく、尊敬する。

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