分化的接触理論
1934年、アメリカの犯罪学者E.H.Sutherland(サザーランド)が『犯罪学原理』のなかで提唱した理論。サザーランドは、9つの命題を示した。
- 犯罪行動は習得される。
- コミュニケーションの過程を経て他人から習得される。
- 犯罪行動は親密な私的集団のなかで学習される。
- 犯罪学習過程には、犯罪行為遂行の技術に加え、動機・衝動・正当化・態度の形成も含まれると指摘している。
- 動機や衝動のある特定の方向づけは、法の規範を肯定的なものとするか否定的なものとするかという定義によって学習される。
- 人は法の違反を肯定する定義づけが否定する定義づけにまさったときに、犯罪者になる。
- 分化的接触は、頻度・期間・優先順位・強度の面で差が出ることもあり得る。
- 犯罪および犯罪予防パターンを関連づける学習過程には、学習一般に作用するすべてのメカニズムを含む。
- 犯罪行動は一般的な欲求および価値観の表現であるが、それらの一般的欲求および価値では説明することは不可能である。なぜなら犯罪者でない者の行動もそれと同じ欲求や価値観の表れだからである。
第3回公認心理師試験に出題
問141 16歳の男子A、高校1年生。Aは、友達と一緒に原動機付自転車の無免許運転をしていたところを逮捕され、これを契機に、教師に勧められ、スクールカウンセラー Bのもとを訪れた。Aには非行前歴はなく、無免許運転についてしきりに「友達に誘われたからやった」「みんなやっている」「誰にも迷惑をかけていない」などと言い訳をした。Bは、Aの非行性は進んでいるものではなく、善悪の区別もついているが、口実を見つけることで非行への抵抗を弱くしていると理解した。BがAの非行を理解するのに適合する非行理論として、最も適切なものを1つ選べ。
- A.K.Cohenの非行下位文化理論
- D.Matzaの漂流理論
- E.H.Sutherlandの分化的接触理論
- T.Hirschiの社会的絆理論
- T.Sellinの文化葛藤理論
解答
②
コメントを残す