辰沼小学校「キッズレスキュー隊」

辰沼小学校のいじめ防止教育。

校長の講演内容が素晴らしい。

「わが校のいじめ事前防止教育」 仲野繁校長

こんばんは。今紹介にあずかりました仲野 繁と申します。よろしくお願いします。
具体的に本校でやっているいじめ防止活動の説明 をいたします。

これは「辰ピー」といいまして、本校は辰沼小学校というのですが、子どもたちが辰沼小学校を幸せに楽しくしようということで、 130 人ぐらいの子どもが応募してくれて、つくったキャラクターです。私の体の大きさのゆるキャラを家庭科の先生と図工の先生がつくってくれました。昨日は辰ピーのテーマソ ングが完成したので、歌の発表会。そこまでいっています。なぜこういうことをやってい るかということをお話ししたいと思います。

私はいじめ防止教育は命を守る教育だと思っているのです。ここに学校の先生がいらっしゃるかもしれませんが、いじめ問題、特にいじめ防止に本気に取り組んでいない学校というのは、子どもの命をどうお考えなのかなと。避難訓練というのはよくやりますよね。 命を守る。だけど、いじめだって人の命が懸かっているのです。ならば、避難訓練をやるように、いじめだって防止教育をやるべきじゃないかと思っているのです。だけど、なかなかこれが届かないので、きょうこの場に来たわけです。この考えを理解されているのは 尾木先生なので、いろいろな場面でアドバイ スやご指導を受けています。

そもそも、このいじめ防止教育をなぜ始めたかというと、先ほども話が出ていましたが、 2011 年の、例の大津のいじめ事件。それが発覚したのが 2012 年です。その夏休みの終わりの頃に、校長室に児童会の子どもたちを呼んで、「あの事件、どう思う?」と聞きました。 そうしたら、大人はすぐいじめをするな、あったら解決するよと言うけれども、僕たち子どもが望んでいるのは、いじめが起きない学 校なんだと。なぜならば、いくら解決したよと言ったって、自分をいじめた相手が教室にいたのでは怖くて教室に戻れない。不登校、 引きこもり、最悪は自死です。

死んだ後に対策を練ってどうするんですか。 帰ってこないでしょう。方法はただ 1 つですよね。そういう事態に陥らないように、未然防止にもっと力を注ぐ。

私自身もずっと中学校で生活指導をやって いました。ただ、やはり反省してみると大人目線なのです。大人がなんとかしてやる。ア ンケートを取る。子どもの気持ちを探る。それは大人でしょう。いじめの兆候を発見しろといって、細かいリストをもらって、こうい うことがあったらいじめの兆候ですよと。だけど、いじめが起きた後にアンケート調査をやられたって手遅れなケースがあるのです。

なぜこう思い立ったかというと、東北大学 の名誉教授に松永先生という方がいらっしゃ います。お医者さんです。その方が、深刻ないじめで病院に来た子の脳をCTやMRAで調べたら、大脳の扁桃核に穴が空いている。 傷がついている。そうなると鬱状態、統合失調症を引き起こす。結論から言うと、いじめ は脳を破壊する犯罪行為だとおっしゃっているのです。

脳に穴が空いた後にどうするのですか。どういう対応をするのですか。防止しかないのです。子どもたちも防止してくれ、起きない学校をつくってくれと言っているのです。そうしたら、やるしかないじゃないですか。ただ、ここにも書いてあります。私自身も発生後の対応や生活指導をやってきました。だけど、これでは手遅れな場合があるのです。

それから、大人が気づきなさいと。先ほど の川崎の事件でもありましたけど、なぜ気がつかなかったのか。もちろん気づくのは大事 なことです。だけど、人の気持ちをどこまで読めるかという場面があったときに、本当に読み切れるのか、本当に気づけるのかということです。やはり限界があります。

それから、やはり学校というのは道徳教育をはじめ、心の教育が中心なので、今ひとつ防止力が弱い場合があります。

われわれも道徳は一生懸命やっています。 やはり心は大事だと思っています。しかし、例えばこういう指導をしませんか。「自分がさ れて嫌なことは、人にもするな」。だけど、いじめの定義は感じ方です。
「僕は平気だけど、 あの人は嫌かもしれない」ということまで考えなければ、本当の意味ではいじめは防げない。
でも、それは難しい。不可能じゃないで すか。人の感じ方をどこまで読み切れるか。もちろん全くゼロではないです。だけど、本 当に100%読み切れるのか。これは難しいものがあります。

それから、傍観者になるな。見て見ぬ振り をするな。だけど、いじめが起こっている現場で「やめろ」と言ったら、下手をすれば次 の標的は自分なのです。下手をすれば命懸け なのです。命が懸かっていることを「傍観者 になるな」と軽々しく言うのは、無責任では ないかと思うのです。傍観者になるなと言うのだったら、傍観者にならなくても済むような環境をつくってから言いなさい。大人だっ て、勤めている会社の不正を見つけたときに、 クビを覚悟で告発できる大人が何人いるかです。難しいんじゃないですか。それをなぜ子 どもに「傍観者になるな」と軽々しく言うんだ。私も言ってきたから、私の反省です。

人間というのは、正しいと思ったり、考えていることを実践するかどうかは別なのです。 私もそうです。正しいと思っても、疲れているから明日にしちゃおうかとか。そういうものなんですよ。そういうくだらないことじゃなくても、例えば数年前、踏切である男性が 倒れている。それを助け起こした女性の方が、 自分がひかれて亡くなってしまいました。

この話を聞いたときに「命を省みず救った。 素晴らしいな」と思うじゃないですか。私も素晴らしいと思いました。だけど「あんた、それできる?」と言われたら、簡単にできないのです。だから、人間というのは正しいと 信じていることをやるかどうかはまた別だと いうことです。いくら心の教育で正しいことを教えたって、それを実践に結びつけなけれ ば、いじめは防げない。私はそういう指導をしてきたので、ちょっと厳しいなと。標語や スローガンをつくっても、いじめは簡単に防 げないということです。

いじめは、子どもが子どもに対して行う犯罪行為であるという認識が、まだまだ不足し ていたのです。本当に犯罪行為ですよ。それ をいじめという言葉でごまかして、軽く考えているのではないかと思いました。

私がこれまで何をやってきたかというと、 こういうことをやってきました。例えば、いじめ根絶宣言とか、仲良し宣言、スローガン、 標語、ポスターづくり。心の醸成ということで、あったか言葉とか、ふわふわ言葉とか、 道徳教育、人権教育、自己有用感等をどう育むか。本当にやってきました。

また、生徒会でもいじめフォーラムとか、 いじめビデオをつくったり、劇をやってみたりしてきました。大人の対応としては、当然どこの学校もやっている、カウンセラーの面接やアンケート、生活ノートなど、いろいろ やってきました。それから仲間づくり。よく 縦割り班とか、この指止まれをやっています。

こういうことをほとんどやってきたのです。 ただ、やはり完全にはいじめを防げなかった のです。先ほどの尾木先生ではないですけれども、守秘義務があるから詳しいことは言えませんが、残念ながら救えなかった命があります。

手抜きはしませんでした。だけど反省した のは、大人の目線、大人主体の対応だったの です。教育は職業分類でよくサービス業という言い方をしますが、サービス業だったら、 サービスを受ける子どもが主体じゃないです か。子どもの気持ちをよく聞く。ただ、子ど もはこうすればいい、ああすればいいとは思いつかないと思うのです。そこは大人が支援してあげる。子どもの気持ちを十分聞いて、それをうまく救ってやる。子どもと相談しな がら、子ども目線、子ども主体の活動が大事ではないかと思いました。

人間の行動を決めるものは何か。いろいろ 私もやってきて思ったのは、たしかに学校の 規則、法律、ルール、それからモラルです。 道徳、規範意識。それから、アーキテクチャ ーといいますが、環境や構造。要するに仕組 みです。どういう環境なのか。特にアーキテ クチャーが大事ではないかと思っています。 心理学でも、人間の行動を決めるのは刺激と 環境といいます。環境というのはとても大事なキーワードではないかと思っています。

私は今までやってきていない環境づくり、 これにかなり特化してやったつもりです。環 境とは何かというと、例えばここに書いてありますが、日本でなぜ銃による犯罪がアメリカより少ないか。いろいろな要因があるでし ょう。ただ、すぐ思いつくのは、日本はなか なか銃が出回っていない。やはりそれが一番ではないかと思います。つまり銃が出回っていないので、犯罪のしようがない。だから、 少ない。ちなみにアメリカ辺りでは銃の規制 よりも、警官を増やしたほうが効き目があっ たというデータもあるので、またアメリカでは違うのかなとも思います。

つまり、人間の行動というのは、心も大事だけれども、もっと大事なのは、環境、仕組 み、空気と言ってもいいです。学校風土とか、 それがとても大事ではないかと思いました。

そこで、私はいじめが起きにくい環境づくり。結論から言うと、加害者を生まない環境 をつくること。加害者がいなければいじめは 起きないのですから。加害者をいかにして生み出さないかということなのです。

ただ、いじめの指導になると、被害者目線 で、被害者の気持ちを考えて行うと思います。 私もやってきたのですが、これは実は底の浅 い指導になってしまいます。被害者目線に立 ったら、誰だって「いじめはいけない」「自分 はいじめをしないほうだ」。正義派に立ちませ んか。子どもはすぐ結論を出します。違うの です。加害者の立場から始めるということは、 ひょっとすると、僕だって、私だって、加害 者になりえるな。これは駄目だなと。

では、どうするか。きょうは女性の方がた くさんいらっしゃいますけれども、お化粧す るとき鏡を見ますよね。自分では自分の顔は 見えません。鏡を使います。同じように、人 間の行動というのは、自分では気がつかない。 だから、仲間とともに、友達とともに生活し て、お互いに「君、ちょっとやり過ぎじゃな いの」というような、声の掛け合い。これが 人間同士の鏡ではないかと思っています。

私は「いじめの六層構造」と呼んでいるの ですが、普通は上の四層構造というのが有名 です。もちろんその通りでいいと思います。 ただ、私は、特に傍観者の中にも、止めたい んだけど止められないという方もいると思う のです。それから、そもそもいじめが起きた こと自体が分からなかったという無関係者。 ただ、いじめ防止という観点から見たら、こ の四層だけではなくて、何としても防ぎたい という子ども、いじめがあること自体知らな かったという子ども、この子どもたち全員、上から下まで六層全員が、普段からいじめが起きない学校づくりをする。やはりそこで生活する人間ですから、しなくてはいけないのではないかと思っています。無関係、知らなかったからでは済まされないということです。

その学校で生活する限りはやはり普段からい じめを生まないような行動を全員ですべきで はないかと思っているので、私はこの六層構造でしっかり考えて、防止者をいかに増やすかという観点での学校づくりをしなければ、 これ以上防止はできないと思いました。

では、何をやってきたのかということです が、これを見てください。これは自由参加ですが、実は会に入りきらないので、これは半 分です。この活動は子どもたちがつくったの ですが、キッズレスキュー。子ども同士、助け合おうじゃないかと。助けると言っても、 取り締りなどではありません。先ほど言いましたように、自分の行動は自分で気づかない のだから、やり過ぎたときは「ちょっとやり 過ぎじゃないの」と簡単に声をかける。傍観者にならなくても済むような学校にしたかっ たのです。この T・K・R 隊は 200 人います。 ちょうど200番目が尾木先生なんですけど、 みんなでやっています。

これだけの子がいじめ反対ということで、 普段から行動していますので、うちの学校では簡単に加害者にならない。この子たちはいじめを止めたりもするのですが、先生に知らせることもします。発見することもしますの で、この取り組みをやっていたら、敏感にな って、いじめの認知件数が増えました。だけど、ほとんどがその日のうちに解決しています。芽が出た段階で、すぐ話し合いをして「ちょっとやり過ぎだよ」ということをやるので、 結果的に長引くことはないのです。大きくなる前ですから。

T・K・R 活動ができる前は、保護者も巻き 込んだいじめの反省会や謝罪の会がありまし た。でも、T・K・R ができてからは 1 件もありません。なぜかといったら、大きくなりようがないのです。これが会員証と名札です。誰が見てもすぐわかるように、名札もT・K・R隊のものを使っています。

ポイントは、大人はすぐいじめがどうのこうのと言うのですが、子どもは違うのです。 楽しい気持ちを増やす、やさしい気持ちを増やせば、自動的にいじめたいという気持ちが減るのではないかということなのです。これを一生懸命増やそうじゃないかというのが T・K・R の活動の中身です。

もう 1 つ、傍観者にならなくて済むために は、これだけ反対している人がいるんだよと いうところをしっかりみんなに見てもらう。 あえてパトロールをやっています。200 人いますので、だいたい 1 日単純計算で 40人。 ただ、次の授業の準備や体育の準備があるので、だいたい 20人から、多いときで30人ぐらいでやっています。

昨日、辰ピーの歌を発表したのです。T・K・ R の隊員は全員前に出てきて歌いなさいと隊長から指示が出たのですが、200 人がステー ジに立ったので、フロアの子どもたちがびっくりしていました。「こんなにいたの」「こん なに反対する人がいるの」。もう目で見て分かるのです。

つまり正義というのは 1 人、2 人では駄目なのです。たくさんの人間が正義の行いをしているということを分からせなくては効き目がないのです。私の考えでは 2 割。うちは450 名いるので 90 名、こういう活動をすればいいのかなと思うのですが、だいたいいつも 200人前後なので、4 割の子どもがやっています。いじめのグループというのはせいぜい 1 グループ 5 人や 6 人です。けんかをしてはいけないけれども、5 対 200 でなかなかけんかはできないと思うのです。だからいじめられにくい。

本気でないと駄目なので、課外活動には一 切していません。自由参加・自由脱退。いつでも辞めていいという形でやっています。 何をやっているか。パトロール。先ほど言いました。それから辰沼しぐさ。これは後で説明します。いじめ相談箱・思いやり報告ポ ストというのですが、よくいじめ相談箱ってありますよね。あれも大事なんだけど、深刻ないじめを簡単に相談しますか。そこで、うちでは「こんなやさしいことをされたよ」と 報告をするために、つまり箱のハードルを低くするために、これも同時に報告をやらせて います。気軽に相談も、思いやり報告もできるという仕組みです。

それからT・K・Rブロードキャスティング。これは昼の不定期の放送ですが、普通の放送ではないのです。「やあ、元気? みんな、きょうは暑いよね」とか「夏はやっぱりスイ カが一番だよね」なんてことをやっています。 学校放送にふさわしくなく、テーマソングも私が個人的に好きなので、『ジョジョの奇妙な冒険』のテーマを使ってやっています。知らない人に言いますが、ディオという悪の化身がいまして、正義のヒーローであるジョジョを描いている。正義のヒーローが T・K・R 隊員であると。私の個人的な趣味ですが、これ一応通ったのです。子どもたちが認めてく れた。「校長先生、かけたいんだけどいい?」 と言ったら、「いいよ」「いいですよ」と。もう1 つ『進撃の巨人』もかけたかったのですが、これは駄目と言われました。「校長先生、ちょっとそれはやり過ぎですよ。これはいけません」と子どもに言われた。

LINEトラブルについてのいじめ DVD の 作成。これは何かというと、LINE がこれだけ普及しています。先ほど尾木先生のお話にもありましたが、女子高校生の平均時間 7 時 間。9.7%が 15 時間。こういう時代になっています。やめろと言ったってやめられないで しょう。では、どうするか。正しい使い方を子どもたちに考えさせる、教育をするしかないということで、どんな使い方が正しい使い方かということを、子どもたちが演技をして、 それを見てみんなで考えるということです。 それから、先ほどのゆるキャラの辰ピーとか、 いろいろなものがあります。

それから、けん玉選手権等とありますが、 これは子どもの発想です。「テレビチャンピオ ン」ってあるじゃないですか。あのノリでや っちゃおうと。チャンピオンベルトもちゃん とつくりました。チャンピオンですから、時には防衛戦をやるとか、子どもながらの発想で楽しくやる。

サミットは近隣の子どもたちを集めて、後でまた写真も出てくるのですが、子ども同士、 意見交換。どうやったらいじめがなくなるかということを、近隣の学校の代表の子どもを 集めてやりました。ちょうどそのとき尾木先生もいらして、コメントをいただき、子どもたちも大喜びで「もっとやるぞ」と決心を固めていました。こういう子ども同士の、T・K・ R 隊員の活動です。

それから、フラッシュモブ。若い方はご存じかもしれませんが、街を歩いていて、いきなり踊り出す。これは昼休みに遊んでいるときに、急に踊り出す。変なことをやっている なと思いますが、これが楽しい。

人権標語コンクール。どこでもやっていますよね。うちだってやっています。これではなくならない。だけど、決心をつけるために、 こういうことをやっています。いい作品は地域に出す。

これがパトロール。ちょっと映像を見てください。
〔映像上映〕

これは、これだけ反対しているんだよということを可視化させる。映像には出てきませ んが、6 年生辺りはちょっと散らばって、トイレとか目立たない場所で行われていないかどうかを発見する。もし変なことがあったら、 「どうしたの」「何かあったの」と声をかける こともしています。

本命はこれです。1 人にしない。やはり絆。 みんなでということを固めるために。よく思いやりを持ちなさいと大人は言います。でも、 子どもに聞いたら、思いやりを持てと言うけ ど、思いやりというのは、僕たちは何かをされて、何かをして、行動を通じて感じるもの だから、言葉の上で思いやりを持てと言ったって持てないと。「じゃあ、どうする?」と聞いたら、全校生徒にアンケートを取って、どんなことをされたらうれしいかを調べましょうと。差があまりないのですが、こちらが第 1位。「仲良ししぐさ」。小学生ですから、よ く友達関係が変わるのです。昨日まで友達だった子が別な子と遊んでいて、一人ぼっちに なっちゃう。そのときに、様子を見ていて、 「ねえ、僕たちと遊ばない?」と声をかけられるとうれしいと言うのです。

小学生ですから、よくものを落とします。 消しゴムを落とした、鉛筆を落とした、何か をどこかになくした。そのときに、一緒になって探してもらうとうれしい。辰沼小学校は 実は足立区の小学校で一番校庭が広いのです。 23 区内でも 4 番目の広さです。なので、1 年 生、2 年生はよく転ぶのです。そのときに上級生が来て、「大丈夫?」と抱えてくれて、血 を止めてくれたり、保健室につれていったり してくれるとうれしいと言うのです。これが 第 2 位の「手伝いしぐさ

第 3 位が「挨拶しぐさ」。朝来たときに「おはよう」と言われると、無視されていない気 がするからうれしいと言うのです。一人ぼっ ちじゃない。うちは挨拶運動もやっていませ ん。挨拶を規則にしていません。だけど、こ れをやっています。しかも 200 人隊員が率先してやっていますから、自然とやるようになっています。

規則にしていなくてよかったなと思ったのは、先日、正門のところでお母さん方とおしゃべりしていて、登校している子どもに声をかけたら、普段元気よく挨拶する子が暗い顔をしているのです。それで、すぐ担任の先生に言って、「ちょっと話を聞いて」と。そうしたら、案の定、家で何かあったのです。これを規則や運動にしてしまうと、例えば家で虐待されていても、挨拶しろと言われるものだ から、「おはようございます、校長先生」とやってしまうのです。そうしたら見逃してしまう。大事な心が見えなくなってしまうので、 一切運動や活動にはしていないのです。もちろんしてもいいのです。してもいいのですが、 うちは、子どもたちが率先してやってくれて いるので、あえて運動にしなくていいという ことです。

次は、尾木先生にも見ていただきましたけ れど、これがそうなのです。これはもったいなくて、ときどきしか出しませんから、出た ときは大騒ぎ。毎日出したら飽きてしまうの で、ときどき出しておけばいいのです。盛り上がるでしょう。楽しいでしょう。「楽しかっ たな。よし、次はあいつを血だらけにしてや る」とはならないでしょうというのが、子ど もの発想なのです。大人はこんなものと思うかもしれませんが、子どもは楽しいことがあれば、いじめが減るのです。

これが縄跳び選手権。これが T・K・R 隊 長です。200 人を率いている隊長で、立派な子です。素晴らしい子です。これはけん玉選手権です。

これは、地域の子どもたちを集めてサミッ トを開きました。どこまでできるかなと思っ て、任せておいたのですが、私はこの後謝りました。「君たちを見くびっていたよ。ごめん」。 素晴らしいのです。

これが美術の先生と子どもたちがつくった 尾木先生の似顔絵です。とても楽しい会でし た。

これがフラッシュモブです。 〔映像〕

要するに、何がよかったかというと、大勢 の子が反対して、目に見える形でやっていますので、もう傍観者になる必要がないのです。 ですから、LINE のトラブルがあったのですが、大多数の子が「あれ、いじめじゃないの」 と思っていますから、すぐばれて大ごとにな らずに済む。やはり LINE は見えないので、 子どもたち自身が解決する力をつけないと防げないのです。

では、これでいいのかというと、誤解する 人がいるのですが、子ども主体というと、大人は何もしなくていいのかということですが、 そんなことはありません。思いとか、考えと か、そういうものは子どもの意見を聞く。だけど、アレンジしたり、具体的にやる能力は そこまで育っていない場合がありますので、 一緒になって相談しながら作り上げる。だから、大人の支援は不可欠です。

例えば、あの DVDや CD は二千何百円するのです。私が買ったのですが(笑)。子どもは買えないじゃないですか。そういうときは大人が支援する。子どもは、アイデアはあっても、なかなか環境によってはできない場合があるので、そこは大人の出番なのです。だから、子どもに任せっきりでは駄目なのです。 やはり大人が真剣に。

結論は、解決も大事ですが防止。病気だってそうでしょう。腕のいい医者がいても、それはそれでいいけれども、やはり病気にならないことが一番じゃないですか。いじめも一 緒。いじめ被害を受けないことが一番いい。

これらも子どもたちがつくった旗です。隊長がやっています。このポーズだけは『進撃の巨人』の「ハートを捧げよ」をやらせまし た(笑)。意地でもやらせようと。こんなことで、楽しく、みんなで支え合うという、子ども主体の活動をやっております。ご清聴あり がとうございました。(拍手)

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