強迫性障害OCD(Obsessive Compulsive Disorder)
自分でもコントロールができない不快な考え(強迫観念)が頭に浮かび、その不快な考えや気分を振り払おうとして、さまざまな行為(強迫行為)を行う、一連の精神的な障害。従来、強迫神経症とよばれていた。不安障害のひとつ。
特徴
最大の特徴は、強迫行為自体は常軌を逸しているものの、それ以外のことについては全く正常な人と同じか、あるいはそれ以上に優れた能力を持っているということ。また、うつ病などの精神疾患と決定的に違う点は、自分の症状が、明らかにおかしいということを本人が自覚していること。
発症率
米国における調査によると、強迫性障害の生涯有病率は、1.9%~3%と報告されている。仮に3%として日本に当てはめてみると、約400万人近くの強迫性障害の患者がいることになる。強迫性障害の発症年齢に特に男女差はなく、全患者の約7割の人が25歳までに発症しているとされている。
治療
早期発見・早期治療。時間がかかる。薬物効果あり。精神療法としては、行動療法、認知療法、森田療法の3つがあげられる。曝露反応妨害法(Exposure and response prevention:ERP)が治療法としてはよく知られている。
- 行動療法とは、不安や強迫観念を追体験しながら、自らの意思で不安や恐怖を克服していこうという精神療法。
- 認知療法とは、強迫観念を「認知の歪み」と捉え、その歪みを修正する過程を通して、合理的な判断力を取り戻そうという精神療法。
- 森田療法とは、「あるがまま」を受け入れ、不安を抱えたまま行動することにより、不安や恐怖を克服していこうという精神療法。
OCDかどうかを診断するのに役立つ5つに質問
- あなたは何度も手洗いやうがいをしますか
- あなたは何度も確認しますか
- 追い払いたいのに追い払えない、あなたを悩ませ続けている考えがありますか
- 毎日の活動をやり終えるのに時間がかかりますか
- 順序正しいことや左右対称でとらわれていますか
第5回公認心理師試験に出題
強迫症の症状として、適切なものを 1 つ選べ。
- 儀式行為
- 欠神発作
- 常同行為
- 連合弛緩
- カタレプシー
第1回公認心理師国家試験に出題
20歳の男性A、大学生。Aは大学のサークル内の友人関係におけるトラブルを経験した。その後、周囲の様々な物が不潔だと感じられるようになり、それらに触れた場合、馬鹿らしいと思っても何十分も手を洗わずにはいられなくなった。手を洗うことで一次的に不安は弱くなるが、手を洗うのをやめようとすると不安が強くなった。やがて、日常生活に支障を来すようになり、医師の紹介で相談室に訪れた。
Aに対する行動療法として、最も適切なものを1つ選べ。
- Aの不安が一時的ではなく完全に消失するまで手洗い行動を続けさせる。
- 触った後で手を洗いたくなるような不潔な物をAに回避させることで、不安を弱くさせる。
- 手を洗った後で、本当にきれいになったかどうかを家族に確認してもらい、手洗い行動を減らしていく。
- 不潔だと感じる物に意図的に触れさせ、手洗い行動をしないように指示し、時間の経過とともに不安が弱まっていくことを認識させる。
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