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問141 17 歳の男子A、高校2年生。Aは、監視されているという恐怖のため登校できなくなり、母親Bに連れられて高校のカウンセリングルームの公認心理師Cのもとへ相談に訪れた。Aは、 1 か月ほど前から、外出すると自分が見張られており、家の中にいても外から監視されていると感じ、怖くてたまらなくなった。「見張られていること、監視されていることは間違いない」、「自分が考えていることが他者に伝わってしまう」とAは言う。Aに身体疾患はなく、薬物の乱用経験もない。 Bは、「カウンセリングによってAの状態を良くしてほしい」とCに伝えた。この時点でのCによる対応として、最も適切なものを1つ選べ。
- A に対して支持的心理療法を開始する。
- しばらく様子を見ることを A と B に伝える。
- A に対して集団での SST への参加を勧める。
- 薬物療法が有効である可能性を A と B に説明する。
- B の意向を踏まえて、A に対してカウンセリングを開始する。
解答
④
統合失調症を参照。
問142 45 歳の男性 A、会社員。総合病院の内科外来で2年前から2型糖尿病の薬物療法を受けている。不眠が近頃ひどくなり、内科の主治医に相談した。Aは、1年前から仕事が忙しくなり、深夜に暴飲暴食をすることが増えた。Aの体重が増加していることや、血糖値のコントロー ルが悪化していることをAの妻は心配しており、口げんかになることも多い。1か月前から、未明に目が覚め、その後眠れないようになった。日中は疲労感が続き、仕事を休みがちである。趣味にも関心がなくなった。心理的支援が必要と考えた主治医から院内の公認心理師Bへ依頼があった。現時点におけるBのAへの対応として、最も優先すべきものを1つ選べ。
- 睡眠衛生指導
- 家族関係の調整
- 抑うつ状態の評価
- 身体イメージの評価
- セルフ・モニタリングの導入
解答
③
糖尿病患者はうつ病になりやすく、またうつ病患者も糖尿病になりやすいといわれている。また、うつ病になると、血糖値のコントロールがむずかしくなる。
問143 60 歳の男性 A、俳人。物忘れが最近増えてきたことを心配した同居の息子 B に連れられ、精神科クリニックを受診した。黙っている A に代わって話をした B によると、A は、半年前から膝が上がらなくなり、徐々に歩幅が小さくなった。今では、脚が左右に開き気味で、歩行が不安定である。また、 3 か月ほど前からトイレに行く頻度が増え、近頃は、間に合わずに尿を漏らすこともある。日中は、ぼんやりしていることが多く、楽しみにしていた地域の句会にもしばらく参加していない。一方で、夜間はよく眠れており、食欲も以前と変わらず、奇異な訴えもない。A に考えられる病態として、最も適切なものを 1 つ選べ。
- 正常圧水頭症
- 老年期うつ病
- 前頭側頭型認知症
- Lewy 小体型認知症
- Alzheimer 型認知症
解答
①
正常圧水頭症を参照。前頭側頭型認知症、Lewy小体型認知症、Alzheimer型認知症もそれぞれ参照。
問144 32 歳の女性 A、会社員。A は、持病の視神経炎が悪化し、ステロイドパルス療法を受けるため、総合病院に入院した。治療開始後 5 日目 から、食欲低下と不眠が続いている。10 日目の夜、病棟内を落ち着きなく歩き回り、看護師に不安やいらだちを繰り返し訴えた。意識障害はなく、原疾患以外の明らかな身体所見も認められていない。眼科の主治医から依頼を受けた精神科リエゾンチームが A の病室を訪問したところ、いらいらした様子で、「どうせ分かってもらえません」と言ったり、「私が悪かったんです」とつぶやいたりして、涙ぐんだ。 A の症状として、最も適切なものを 1 つ選べ。
- 強迫行為
- 誇大妄想
- 前向性健忘
- 抑うつ気分
- パニック発作
解答
④
ステロイドパルス療法は1グラムのステロイドを3日間連続で点滴することを1クールとして、疾患によって1~3クール行う治療法のこと。副作用として、抑うつ気分等精神の不安定が見られることがある。
問145 24 歳の女性 A。同居している男性 B から繰り返し暴力を受けている。ある日、怪我をしている A を心配して友人が問い詰めたところ、B から日常的に暴力を受けていると語ったため、B との関係を解消し、家を出るように勧めた。一時は、「関係を解消しようかな」と言っていた A であったが、結局 B との関係を解消することはなく、再び暴力を受けることになった。その後も周囲が関係の解消や相談機関への相談を勧めたことで、一時家を離れることもあったが結局は Bの元に戻り、暴力を受けることを繰り返している。このように暴力の被害者が、被害を受ける関係の中に留まり続ける現象を説明するものとして、最も適切なものを 1 つ選べ。
- バウンダリー
- ハネムーン期
- 複雑性 PTSD
- サバイバーズ・ギルト
- トラウマティック・ボンディング
解答
⑤
暴力の被害者が、被害を受ける関係の中に留まり続ける現象をトラウマティック・ボンディングという。ボンディングは接着剤の「ボンド」。
- バウンダリーは自分と他者とを区別する境界線。
- ハネムーン期はDVのサイクルの一つ。蓄積期、爆発期、安定期(ハネムーン期)の三つを循環する。ハネムーン期は、暴力や精神状態が一時的におさまり、パートナーに対して優しく振る舞う。
- 複雑性 PTSDは、PTSDを参照。
- サバイバーズ・ギルトは、guiltは罪悪感という意味。戦争や災害、事故などに遭い生き残った人が、亡くなった人に対して抱く感情。
問146 2 歳の女児 A。A は、生後間もない頃から乳児院で暮らしている。 定期的に行われてきた発達検査では年齢相応の発達がみられ、入所直後から担当養育者となった B との間にも安定した関係がみられている。 その後、A が 2 歳となり、A は同じ県内にある児童養護施設に措置変更されることになった。児童養護施設では保育士 C が A の担当になることが決まり、受け入れに向けた準備が進められている。この後、A が乳児院から児童養護施設へと措置変更となるプロセスにおける配慮として、最も適切なものを 1 つ選べ。
- 児童養護施設の受け入れ準備が整い次第、できるだけ早く措置変更をする。
- Cが先入観を持たないようにするために、乳児院での A の様子について B から C に直接伝える機会は設けない。
- 乳児院で暮らす他の子どもへの影響を考慮し、他の子どもとの間ではA の措置変更に関することを話題にしない。
- B が A と児童養護施設を訪問したり、C が乳児院を訪れて A と交流するなど、ならし養育(訪問交流)の機会を設ける。
- B との別れや乳児院を離れることは A にとってつらい経験となることを考慮して、措置変更に関することは直前まで A に伝えない。
解答
④
特に問題なく、回答できるのではないかと思います。
問147 14 歳の女子 A、中学 2 年生。元気がない A の様子を心配した担任教師 B からスクールカウンセラー C に相談があった。A は、おとなしく目立たない性格であり、成績は中程度である。学校生活では自信のない様子が目立つ。C が A と面接を行ったところ、次のことが分かった。中学 2 年生でクラス替えがあり、女子生徒の間ではすでにソーシャル・ネットワーキング・サービス〈SNS〉のグループが複数できていた。 A は孤立を感じ次第に登校が苦痛になってきた。厳格な親から SNS を禁止されており、いらいら感が高じ、自室にこもって、カッターで手首を傷つけるようになったという。C の初期の対応として、最も適切なものを 1 つ選べ。
- 希死念慮の有無について A に問うことは控える。
- A が手首を傷つけないよう B に指導を依頼する。
- 直ちに A を精神科に紹介し、主治医の指示を待つ。
- A の自傷行為の習慣性についてのアセスメントを行う。
- B と連携して A が SNS のグループに入れるよう、親に働きかける。
解答
④
これも、臨床感覚的に正答が導けるようになっておきたい問題かと。自傷行為についての対応について、基本をおさえていたら、すぐに回答できると思います。
①については、TALKの原則を参照。②とか⑤と答える人がいたら、やばいですね。
問148 20 歳の男性 A、大学工学部の 2 年生。A からの申出はないが、A の家族 B より、実験のあった日の A の疲労が激しいため、サポーターをつけてほしいと、学生相談室のカウンセラー C に相談があり、C は A 及び B と 3 者面談を行った。A は、小学校高学年時に児童精神科を受診し、発達障害の診断を受けた。以後、高校までは、授業中の課題や宿題について代替措置を講じてもらうなどの配慮を受けてきた。大学では、実験の際、指示の理解に時間がかかり、また手先が不器用で器具の扱いがスムーズにできないことで、教員にしばしば注意されている。授業時間が終わっても、居残りで実験をすることが多い。 合理的配慮について、C の B への対応として、最も適切なものを 1 つ選べ。
- 支援方法は A と C の合意によって決められると説明する。
- A の精神障害者保健福祉手帳の取得が必須であると説明する。
- 合理的配慮を受けるには心理検査の結果が必要であることを説明する。
- A が、授業を担当する教員に配慮内容について直接交渉する必要があると説明する。
- C は、A の意思を尊重しながら大学の学生支援の担当者に伝え、支援を依頼できると説明する。
解答
⑤
合理的配慮を参照。
問149 16 歳の女子 A、高校 1 年生。A は万引きをし、心配した両親に連れられて、市の教育相談室に来室し、公認心理師 B が面接した。A は、2 週間前に店でペンを 1 本盗んだことが発覚した。A は B に、「クラスメイトの C が私のペンを欲しがり、誕生日祝いにちょうだいとしつこくせがんできた。C と気まずくなりたくないし、自分の物をあげるのは嫌だし、買うお金もないので、盗んで渡すしかないと思った。C のせいで仕方なくやった」と述べた。A の主張について、G. M. Sykes と D. Matza が提唱した中和の技術によって説明する場合、用いられている技術として、最も適切なものを 1 つ選べ。
- 加害の否定
- 責任の否定
- 被害者の否定
- 非難者に対する非難
- より高次な忠誠心への訴え
解答
②
中和理論を参照。
問150 A 社は、創業 50 年になる機械製造業の老舗である。ここ数年、心の健康問題を抱える従業員の割合が高止まりの傾向にあり、新しい経営陣が職場環境改善に取り組むことになった。企業内の公認心理師 B が、メンタルヘルス推進担当者の会議に向けて、何人かの従業員にヒアリングを実施したところ、過去の高業績に貢献した古参の従業員の発言力が強く、若手の従業員は意見が軽視されて、勤労意欲の低下がみられるということであった。その背景にある A 社の組織の特徴として、最も適切なものを 1 つ選べ。
- 安全文化
- 権限委譲
- 属人思考
- 法令遵守
- 役割葛藤
解答
③
- 安全文化を参照。
- 権限委譲は、上司の業務権限の一部を部下に分け与えて、本人の裁量で仕事をさせること
- 属人思考は、意志決定において「人」情報を重視し「事柄」情報を軽視する傾向のこと
- 法令遵守は、社会的なルール・規則・法令などを守ること
- 役割葛藤は、同一人物が複数の役割の中で直面する葛藤
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