第1回公認心理師試験過去問題151〜154

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問151 事例

20歳の男性A、大学生。Aは大学のサークル内の友人関係におけるトラブルを経験した。その後、周囲の様々な物が不潔だと感じられるようになり、それらに触れた場合、馬鹿らしいと思っても何十分も手を洗わずにはいられなくなった。手を洗うことで一次的に不安は弱くなるが、手を洗うのをやめようとすると不安が強くなった。やがて、日常生活に支障を来すようになり、医師の紹介で相談室に訪れた。

Aに対する行動療法として、最も適切なものを1つ選べ。

  1. Aの不安が一時的ではなく完全に消失するまで手洗い行動を続けさせる。
  2. 触った後で手を洗いたくなるような不潔な物をAに回避させることで、不安を弱くさせる。
  3. 手を洗った後で、本当にきれいになったかどうかを家族に確認してもらい、手洗い行動を減らしていく。
  4. 不潔だと感じる物に意図的に触れさせ、手洗い行動をしないように指示し、時間の経過とともに不安が弱まっていくことを認識させる。
解答

強迫性障害(OCD)の事例。曝露反応妨害法(ERP)について書かれている④が正答。

問152 事例

21歳の女性A、生後1か月半の乳児の母親。乳児家庭全戸訪問事業として訪問スタッフがAの家庭を訪れた。Aは表情が乏しく、精神的な活力の乏しさが推測された。「初めての育児で全てのことに自信がない。このまま育てられるか不安だ。夫は残業で帰りが遅く、周囲に相談する人もいない。子どもが夜中に何回も起きるので寝不足でつらい」と涙ぐみながら語った。公認心理師は1週間後にAを訪問する予定のスタッフから対応を相談された。

このときの助言として、最も適切なものを1つ選べ。

  1. Aにすぐに精神科への受診を勧めるよう助言する。
  2. Aにすぐに保育園の入園手続きを勧めるよう助言する。
  3. Aの代わりに訪問スタッフが夫や両親にサポートを依頼するよう助言する。
  4. Aに「育児は大変なことばかりなので前向きになりましょう」と声をかけるよう助言する。
解答

この問題に対しての、回答には疑問があります。個人的には、①が妥当ではないかと考えています。

①表情の乏しさ、精神的な活力の乏しさ、自信喪失、不安、涙などの症状から、産後うつの可能性があるため、精神科への受診は適切である。しかし、正答は③となっているため、早急にすすめるよりは、現在ある資源の活用ができないかという視点で、誤りとなっているのかもしれない。

②については、「子どもが夜中に何回も起きるので寝不足でつらい」と唯一具体的に述べている悩みであり、保育園の入園ではカバーできない悩みである。

③については、「夫は残業で帰りが遅く、周囲に相談する人もいない」と述べているため、現実的ではない方針で、そのことを告げることは、場合によってはAの悩みを増やしてしまう可能性があるが、まずは、周囲の資源を活用とするという意味か。

④は論外。

④は論外。

問153 事例

28歳の女性A、会社員。Aは、3か月前に夜遅く一人で歩いていたところ、強制性交等罪(強姦)の被害に遭った。その後、気がつくと事件のことを考えており、いらいらしてささいなことで怒るようになった。仕事にも集中できずミスが目立つようになり、上司から心配されるまでになった。「自分はどうして事件に巻き込まれたのか。こんな私だから事件に遭ったのだろう。後ろから足音が聞こえてくると怖くなる。上司も私を襲ってくるかもしれない」と思うようになった。

Aに認められていない症状として、正しいものを1つ選べ。

  1. 侵入症状
  2. 回避症状
  3. 覚醒度と反応性の変化
  4. 認知と気分の陰性変化
解答

PTSDを参照。

侵入症状は、「気がつくと事件のことを考えており」という表記。

覚醒度と反応性の変化は、「いらいらしてささいなことで怒る」という表記。

認知と気分の陰性変化は、「こんな私だから事件に遭ったのだろう。後ろから足音が聞こえてくると怖くなる。上司も私を襲ってくるかもしれない」という表記。

問154 事例

70歳の男性A。Aはもともと穏やかな性格であったが、2年くらい前から非常に短気になり、気に入らないことがあると怒鳴り散らすようになった。天気が悪くても日課の散歩は毎日欠かさず、いつも同じコースを歩くようになった。また、散歩中に信号を無視することも多くなり、危険であるため制止すると興奮するようになった。

Aに認められている症状として、正しいものを2つ選べ。

  1. 強迫行為
  2. 常同行動
  3. 離人症状
  4. 見当識障害
  5. 抑制の欠如
解答
②と⑤

Aの症状は、認知症と考えられ、症状から前頭側頭型認知症 (Frontotemporal dementia:FTD)と推測される。
常同行動(天気が悪くても日課の散歩は毎日欠かさず、いつも同じコースを歩くようになった)と脱抑制行動(散歩中に信号を無視することも多くなり、危険であるため制止すると興奮する)は、前頭側頭型認知症に特徴的な症状である。

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1 個のコメント

  • 152は、母親が眠れないほど手が離せないてがかかる状態の乳幼児を連れて病院受診は現実的ではないからだと思います。何かのタイミングで母親から子どもが離れる時間がなければ病気受診も難しいという意味ではないかと察します。

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