福井県池田中学校報告書から学ぶ 同じことを繰り返さないために

連日の報道で、学校、管理職、担任、副担任の責任追及がされ

ネット上では、実名を晒されたりしています。

確かに、起きたことは非常に残念で、学校の責任も重大ですが

校長が先日退職したように、

担任、副担任も追い詰められて自殺となったら、

それこそ、起こってはいけないことだと思います。

児童生徒の自死が起こったとき、必要なことは加害を叩くことが大事なのでしょうか

大切なことは、

各学校や教育委員会、関係者が、同じ過ちを犯さないように

そのケースから学ぶことであり、このようなことが二度と起こらないようにすること

スクールカウンセラーの立場で、「池田町事故等調査委員会報告書の要約」(現在閲覧不可)から

自分なら、どこで介入し、危機を回避できそうかを考えたいと思います。

はっきり言って、読んでいると、どこの学校で起こっても不思議ではないことだと思いました。

子どもに関わるすべての大人は、自分ごとだと思わなければ、問題の再発回避はできないでしょう。

 

 

(1)本件事故の発生

平成29年3月14日(火)午前8時ごろ、本生徒は本件中学校に登校し、玄関から校舎東側階段を上った。同日午前8時25分、本生徒が教室にいないことに気づき、教師らが捜索し、3階の生徒会室前廊下にカバンを発見し、窓から下を覗くと、本生徒が倒れていた。発見後直ちに病院に搬送したが、同日午前10時41分本生徒の死亡が確認された。

(2)調査委員会の設置と活動状況

本調査委員会は、平成29年4月に、本件事故の客観的、公正な調査・審議及び結果報告、是正策の助言等を目的として、池田町学校事故等調査委員会設置要綱に基づき設置された。設置後、本件中学校及び教育委員会から資料(事故発生報告書、教職員からの聞き取り結果、アンケート結果等)の提出を受けたほか、同29年4月27日以降同年9月13日まで、合計16回の委員会会議を開催し、その間、保護者に対する独自のアンケート調査を実施した。また、生徒18名、遺族等の聴取調査を行った。遺族からも資料(中学校とのやり取りを記録したメモ、遺書らしきメモのほか作文等)が提出された。さらに、本生徒の小学校当時の担任教諭、本件事故当時の本件中学校の教職員、カウンセラー、教頭、校長並びに、池田町教育委員会教育長から聴取調査を行った。その上で、遺族に対し、中間報告及び再度の聴取調査を行ったほか、本件中学校及び本件事故現場も視察した。

 

遺書らしきメモは、公開されていないようですね。

 

(3)調査報告書の構成

第2項から第4項で、池田町や本件中学校の概要、本件事故の発生、本調査委員会の設置、活動状況について明らかにした上、第5項で、調査委員会が得られた資料に基づき、本生徒の経歴と事実経過を認定し、第6項で、本件事故が自死であるかどうか、その原因を考察し、第7項で本生徒の自死に関わる事項、第8項で事後対応の問題点を、それぞれ検討した上、第9項で再発防止の提言を行う形となっている。(注・正式報告書の構成)

(4)本生徒の経歴と事実経過(主な出来事)

ア 小学校時代のいじめの指摘
本生徒が小学校低学年のころにからかいを受け、泣いて授業に遅れることがあった、周りからいじめられて泣いていたのを見たなどの報告があった。家族からも、本生徒がリュックを投げられ泣いて帰ったことがあるなどの指摘があった。しかし、小学校時の担任教諭、生徒等から事情を聞いたが、いじめの具体的事実は明らかにならなかった

本人や家族は、「いじめられた」と言い、担任や児童生徒は「そんなことしていない」「お互いにじゃれあいの範疇」

というようなことは、多い。特に、本生徒が発達障害の傾向を持っていたというのであれば

少しのからかいも「いじめ」だと思ってしまうことは、あったのではないか。

 イ 中学1年時のいじめ問題
本生徒は平成27年4月に池田中学校に入学した。担任は英語担当であった。同27年5月、本生徒が、部活動で他の部員から部活に取り組む態度を注意され、感情的になったという出来事があったが、担任の指導で落着した。同27年9、10月のいじめ調査において、本生徒はいじめを受けている旨回答した。担任が面談したところ、本生徒は男子生徒にうざいなどと言われると答えた。担任は、本生徒や指摘された生徒から事情を聞いて指導した。以後、いじめ調査で本生徒からはいじめの訴えは出ていない。

感情のコントロールが難しい生徒は多く、自分の間違いなどを指摘されると、パニック状態になる子も多い。

そういった関係が続いていくと、周囲から、「面倒臭いやつ」と思われて、

「うざい」などの言葉がでる場合もある。

問題は、「うざい」という言葉で、いじめと捉えている本生徒の認知の部分。

どれくらいの頻度で、どれくらいの生徒から言われていたのかはわからないが

「それくらいで、いじめというな」ということではなく、

非常に傷つきやすく、少しのからかいや冗談でも、深刻に捉える生徒だったかもしれない。

そのあたりのアセスメントを、小学校低学年でのいじめの時同様、

しっかりしておく必要があった

 

 ウ 中学2年生の平成28年4月、本生徒は前期の学級長に選任された。担任は同じで、新しく副担任がついた。副担任は、初めての中学校勤務で、担当教科は国語であった。副担任は、本生徒が小学校6年当時、池田小学校に在籍し、家庭科の講師をしていた。本生徒は、副担任にミシン掛けで残され、帰りのバスに間に合わなかったことがあり、当時家族に副担任は嫌だと言っていた。

 

 エ 1回目の登校渋り
平成28年5月26日、本生徒が「学校に行きたくない」などと述べた。本生徒は、「副担任が宿題未提出の理由を言い訳だとして聞いてくれない」などと不満を述べた。母は休ませることにして学校に連絡した。同日午前中、担任が本生徒方を家庭訪問した。祖母は、「翌日の校外学習で副担任が本生徒に関わらないようにしてほしい。宿題のことを本生徒が副担任に伝えるときはそばで見てほしい」と要請した。本生徒は遅れて登校し、帰宅後母に対し、「副担任に宿題を提出しに行ったが、私が悪いんでしょと、ぶつぶつ言われた」と話した。同日午後7時ごろ、再度担任が家庭訪問した。母は副担任を替えてほしいと求めたが、担任は「副担任を替えることはできない。副担任と2人にならないようしっかり見ていきます。僕から副担任にちゃんと言っておきます」などと約束した。担任は副担任に対し「宿題をもっていくので受け取ってほしい」旨伝えた。担任は、家庭訪問したことと副担任との関係に問題があると聞いたことを教頭に報告したが、特に指示はなかった。

 

その日中に、2回家庭訪問をしている担任は、対応として手厚いといってよい。宿題未提出の理由が記載されておらず、わからないが、どういった理由だったのだろうか。午前中の家庭訪問で、本生徒は登校している。副担任と校外学習で関わらないようにしてほしいと、祖母の声があったが、この時点では、宿題未提出と、小学校時のミシンの居残りエピソードのみ。その2つだけでは、関わらないようにしてほしいという声にまでは、発展しないと思われるが

5月26日までの1ヶ月半の間に、副担任との間に、どんなやりとりがあり、家庭でどんな話があったのか。

担任が、副担任と2人にならないようしっかり見ていくといっている。

その発言をするからには、2人の関係が深刻な状況にあると、担任自身も捉えており、教頭に報告もしている。

教師と生徒の関係性が、取り返しがつかないほど悪くなることは、少なくない。

その教師が担任の場合、多くは不登校になる。

それほど、子どもにとって、教員との関係は大きい。

その関係性を、しっかり見立てることができたら、スクールカウンセラーから、管理職に報告し

教員自身に指導することもある。

「厳しい指導はしない」「2人きりにならない」

こういった指導は、実際にある。

担任や副担任をかえることは、今まで見たことがない。

関係性が、最悪になった場合の末路は、子どもが不登校になるか、教員が病休をとるか。

今回は、より望ましくない結果になってしまった。

 

 

 オ 池田マラソンでの担任の指導
生徒は、2年生の後期に、生徒会の副会長に選任された。担任が生徒会の指導も担当することになった。平成28年10月9日、能楽の里池田マラソンが開催された。本生徒は、伴走ボランティア実行委員会の委員長に立候補して選任された。本生徒は、同委員会の担当であった担任から、大会当日の挨拶の準備が遅れたことなどを理由に、校門の前で、大声で怒鳴られた。目撃していた生徒は、(聞いている者が)身震いするくらい怒っていた、すごい怒鳴っていた、本生徒が可哀想と感じたなどと述べている。

本生徒は、学級長や生徒会副会長、伴走ボランティア実行委員長をつとめており、

人望があったことがうかがえる。全校生徒が40人と少ないことから

そういった役割を担う生徒が、固定化されることはよくあるが、

そういったことを、全く任せることができないような性格や能力の子どもに

何度も、こういった役職を任せたりはしないだろう。

 

ここまでは、副担任との関係性だったが、ここで担任の叱責が加わってくる。

副担任との関係性で、登校しぶりを見せた生徒に対して、

担任も、強く叱責する役回りをとることは、得策ではなかったかもしれない。

担任と副担任は、お互いに、フォローしあう関係でなければいけない

 

副担任との関係が悪く、担任との関係も悪化すると

不登校になってしまう可能性がある。

 

 

 カ 課題未提出をめぐる副担任の指導(土下座しようとした件)
平成28年11月18日5校時に、副担任が課題未提出につき、担任の了解のもと本生徒を別室に呼び話をした。副担任が、課題が出ていない、期限も過ぎている、どうするつもりかなどと問い質したところ、本生徒は、遅れたのは生徒会や部活動のためとした。副担任は、「宿題ができないなら、やらなくてよい」と言った。本生徒は「やらせてください」と言い土下座しようとした。副担任は、止めさせていつ出すのかを確認した。その後、本生徒はトイレに入ったまま出てこなかった。副担任が担任に連絡し、担任が名前を呼ぶと、本生徒は泣きながらトイレから出てきた。担任が本生徒に「大丈夫か」と聞くと、本生徒は「大丈夫です」と答え、顔を洗って教室に戻った。副担任は土下座しようとした事実を後に担任へ報告した。担任は、本生徒の指導について副担任と相談せず、管理職にも本生徒の保護者にも報告しなかった。

5月の段階で、担任は、副担任と本生徒を2人きりにさせないと、保護者と約束していた。

子どもたちの能力や性格特性は、個々にそれぞれで、対応方針が違ってくる。

どれくらいの継続性をもって約束したのかはわからないが

方針は、その場その場でかえるものではなく、支援会等で、共有し、検討、決定していかなければならない。

 

 

 

 キ 生徒会活動についての担任の指導
平成29年1月か2月ごろ、毎月1回開催していた月曜日の生徒会の日に、本生徒は職員室の前で、担任から「お前辞めてもいいよ」と大きな声で叱責された。叱責の原因は明らかではない。

なぜ、叱責の原因は明らかではないのか。

今回の報告では、教師の叱責による指導死となっており、

その叱責の意図するところは、かなり重要だと思うのですが。

担任からの聴取もしていると思われるのだが、覚えていなかったということなのか

今回の件を指導死とするならば、なぜ厳しく指導する必要があったのかを解明していかないと

指導死という問題を無くすことはできないと思います。

それが担任や副担任の性格であろうと、子どもの特性であろうと

管理職の問題であろうと、学校現場の忙しさであろうと

少しでも原因と思われるものがあるならば

徹底的に調べていかないと

そして、出て来た可能性を、各学校現場で検討していかないと。

 

 

 

 ク 本生徒の欠席、保健室来室
本生徒は、1年生時は、欠席した日が1日、保健室に来室した日が2日であったが、2年生時は、欠席した日が6日で、保健室に来室した日が10日であった。保健室に来室していることや日数等については、家族には報告されなかった。

1年時から比べての欠席数増加は、見過ごしてはいけない部分。

これは、各市町村や教育委員会によって、基準は違うが

2日〜3日連続で休むと不登校傾向として、校内委員会等で検討

または、教育委員会に報告するという制度をとっているところもある。

また、年間30日以上の欠席者は、長期欠席者として「不登校」となる。

保健室の来室についても、全校生徒が40名という中で、この頻度は校内で共有されるレベル。

保健室で、どんな訴えがあったかは記載されていませんが、重要視したいところ。

 

 

 ケ 卒業生を送る会での担任の指導
平成29年2月上旬ごろ、生徒会主催の卒業生を送る会の準備をはじめた。本生徒は、生徒会の役員として、送る会を企画運営する立場にあった。2月上旬ころ、合唱の練習にあたって本生徒が歌詞カードを級友に配布する担当となったが、歌詞カードを忘れてしまったため練習できなかった。そのため、担任から強い叱責を受けた。目撃した生徒は、「言い方がひどかった」、「(本生徒は)下を向いて暗い感じだった」と述べている。

 

 

 コ 同僚教諭の注意
平成29年2月ごろ、本生徒に発達障害の可能性があると考えた教諭が担任に対して、「正しいことであっても、本生徒にはできないのだから、指導方法を考えないといけない」と伝え、家族に受診を勧めた方がよいと助言した。そのほか、教員間で、本生徒が発達障害かもしれないなどという話が出ていた。

宿題・課題を提出できない、感情のコントロールができない、忘れ物をするなど

発達障害の可能性を示唆する情報はちらほら出ているが、これだけでは断定はできないが

教員間で発達障害かもしれないという話がでていたことや、指導方法を考えないといけないと指摘する教員がいたことから

指導は、本生徒にとっては、不適切だったことは、周囲の教職員が認めていることがわかる。

学校現場では、生徒指導委員会や校内委員会といった名称で

定期的に生徒の情報交換が行われる。

また、その中でも特に気になる生徒については、個別の支援会の対象となってくる。

・休みや保健室来室の多さ

・発達障害の可能性

・副担任との関係性

・保護者からの訴え

など、個別の支援会を開き、支援計画をたてなければいけない対象には

十分なり得る。40数名という規模では尚更。そのような体制づくりはどうなっていたのだろうか。

 

 

サ 2回目の登校渋り
平成29年2月21日、本生徒が「学校に行きたくない」と述べ、母親から担任に、「本人が学校に行きたくないと言っている」と電話連絡があった。本生徒は、「国語の宿題の件で、副担任から怒られた。副担任からやる気のない者は出さなくてもいいと言われた。副担任は何をいっても言い訳と決めつける。担任にも未提出物について強く怒られた。どうしていいかわからない」と述べた。

電話連絡した母親に担任は、「僕も昨日少し強く叱ってしまいましたので」と述べ、3校時に担任が家庭訪問をし、本生徒と祖母と面談した。担任は来るなり本生徒に対し、「命は大事なんだぞ、命は一つしかないんだぞ」などと述べた。祖母は担任に、「テレビで言っているようなこと(自殺など)にはならないようにしてほしい。教師ならその子その子の性格や気持ちを考慮して対処してほしい。本生徒は傷つきやすい子(優しい子)だから気をつけて」などと述べた。

同日午後7時過ぎ、再度、担任が家庭訪問し、母親に対し「副担任については僕がちゃんと見ます。ふたりきりにならないよう注意します。今度の件について上に報告してしっかり対応していきます」などと述べた。担任は、副担任には特に話はせず、副担任の指導について本生徒の気持ちを酌んでいない面があるなどと校長と教頭に報告したが、特に指示はなかった。

「どうしていいかわからない」という発言は、本人自身も困っていたのではないか

課題の提出や委員会活動、部活動など、しっかりこなしたいが

それがなぜできないのか、どのようにすればうまくいくのかを本生徒自身も知りたかったのかもしれない

担任だけでは、具体的なアドバイスができなければ、特別支援コーディネーターやスクールカウンセラーに

相談したり、保護者や本生徒をつなぐことで、何あヒントがうまれたのではないか

叱責や指導は、何か本人がミスをした時に行われていたようなので、

そのミスをなくすことができれば、強い指導も、する必要はなかったかもしれない。

 

しかし、担任はなぜ命の話をいきなり本生徒にしたのだろうか

ここに記載されていない、前段階があったのかもしれないが…

この時点で、「死にたい」などという言葉を発していたのか

また、担任は、この件を管理職に報告。自分が厳しく叱ったことも自覚している。

担任が、本生徒への対応や副担任との関係で、悩んでいることがうかがえる。

担任や副担任の責任だけではないことがわかる。

組織としての機能が、不全であったのではないか。

 

 シ 課題未提出についての担任の指導(早退を申し出た件)
平成29年3月6日(月)、本生徒は、朝の会後担任から課題未提出について指導を受けた。2校時ぐらいに、本生徒が保健室にやってきて、教諭に「学校で嫌なことがあったので早退したい。理由は言いたくない。おばあちゃんに聞いてもらう。頭を冷やしたいので歩いて帰る」などと述べた。教諭が「担任に報告するように。自分で担任に話せるか」と聞いたところ、自分で言うと答えた。その後、本生徒は職員室に行き、担任に「3校時に早退したい」と申し出た。担任が理由を聞いたが担任には話したくないとのことだった。担任は、保健室で本生徒と面談したところ、本生徒は担任が生徒会を辞めろと言ったと受け止めていた。担任は、課題も生徒会同様頑張るようにとの趣旨を説明し、本生徒が納得したように感じたとする。しかし、教諭によれば、話の内容はわからなかったものの、担任の話声だけが聞こえ、本生徒の話声は聞こえなかった。保健室での話合い終了後、教諭が本生徒に、「すっきりしたか」と聞くと、本生徒は「少し」と言い、もやもやが残っている様子だった。本生徒は、しばらく保健室にいていいですかと言って、給食の時間まで保健室で過ごした。同事実について管理職への報告はなかった。

教諭とは、養護教諭のことだと思うが、

養護教諭に自分の気持ちをある程度言えていることがわかる。

前述のように、保健室来室が10回あったとのことで、本生徒の学校での拠り所となっていたかもしれない。

早退を止めるのではなく、自分で担任に言えるかどうかという問いかけもあり、

本生徒への寄り添いの姿勢もうかがえる。

担任は、本生徒の態度を「納得」ととらえ、

養護教諭は、本人の様子や言動から「もやもや」ととらえている。

本生徒を保健室にとどめることができる力もある。(担任のほうが、強い力をもっていると

体調不良でない場合、許されないことも多い)

管理職への報告はなかったとのことだが

これまでの記載をみていると、報告を怠っているというよりは

報告しても意味がないと、教職員は思っていたのではないだろうか

管理職との関係性やリーダーシップの欠如という問題点が見受けられる

 

 

ス 3回目の登校渋り
平成29年3月7日(火)、本生徒は、朝起きるなり母に、「学校に行きたくない」と訴えた。理由を尋ねると、本生徒は「送る会は最初から関わっていないので内容がよくわからない。担任から『どうなってるんや』と聞かれても、答えられない。僕だけ強く怒られる。だから行きたくない。どうしたらいいかわからない」と泣きながら述べた。母は、本生徒が「先生来るのが嫌やからそう言って」と希望したため、学校に腹痛を理由に欠席すると連絡した。夜、担任が電話をし、本生徒と話をした。本生徒は腹痛があるが、翌日は登校すると答えた。

「ぼくだけ」という部分はとても重要。

極端な話、少し前までは体罰はあたりまえのように行われていた。

なぜ、その時代に、そこまで体罰が問題にならず、今は問題となるのか

それは、「みんな(本当はみんなではないが)されていたから」

 

人は、「only」にとても敏感。良くも悪くも。

自分だけ期待されている、自分だけ褒められた、自分だけ100点

など、良い「only」は非常に自己肯定感をあげるが

 

自分だけ叩かれる、自分だけ怒られる、自分だけ0点

など、悪い「only」は、非常に自己否定感をあげる

 

クラスメイト全員が、強く叱られ、全員が不満をもっていれば

ある意味、強い絆がうまれる場合もある。

本生徒だけがというのが事実であれば、強く叱責された理由は一体何だったのか

・本生徒が怒られる機会を多くつくっていた(ミスや問題行動が多い)

・本生徒が弱者だったから

・本生徒と担任・副担任との関係性

などがあげられるが、報告だけではよくわからない

よくわからない点を残してほしくはない

 

 

セ 平成29年3月12日(日)、本生徒は、部活でのランニング中に転倒して、右手および左ひざを負傷した。

ソ 課題未提出をめぐる副担任の指導(過呼吸様の症状を訴えた件)
平成29年3月13日(月)、朝の会後、本生徒が副担任に、「宿題を出せません」と申告した。副担任が理由を聞くと、部活で怪我をしたためと説明した。副担任が何日も前だからできたはず、どこまでやったのかと問い、課題をみたところ、本生徒がやってあると説明したところもできていなかった。わかったよと言うと、本生徒は「やったんや、やったんや」と言いながら泣き出し、過呼吸だと言って副担任にビニール袋を求めた。副担任はビニール袋を渡し、背中をさすった。1時間目は理科室で理科の授業であったが、本生徒は10分程度遅れ、理科の先生に謝った。なお、放課後副担任は担任に、家庭に連絡しないでよいですかと尋ねたが、担任は報告の必要がないと考え、連絡しなかった。また、管理職にも報告しなかった。副担任は先輩教諭に出来事を話した。同教諭は、他の教諭にインターネットで得た情報を示して、本生徒には普通の指導ではうまくいかないなどと話し合ったが、管理職への報告はしなかった。

担任および、副担任の対応を見ていると

強い指導のみというわけではなく、その時その時によって、対応がかわっている

担任も、副担任も本当に適切な対応がわからなかった可能性もあるし

先輩教諭に相談という形もとっている。インターネットで得た情報を示してともあるので

他の教員も、本人に合う手立てがないかを探している様子はうかがえる。

管理職への報告はなかったという記述が、またも出てくるが

やはり、管理職との信頼関係に問題があったのではないか

この場合、教育委員会などに申し出て、指導主事に来校してもらい

本生徒を観察後、支援会を持つことや、巡回相談等のシステムを利用するなど

それぞれの地域には、そういった支援システムがあるはずなので、

そういった動きをとることが必要(管理職が信用できなければ尚更)

スクールカウンセラーが機能しているならば、もちろんそちらを利用することが早い

 

 

タ 事故前日の国語の授業
平成29年3月13日(月)4校時の国語の授業で、最後の授業で何をするかをクラスで話し合った。本生徒の班は読書を提案し、他の班からは百人一首などの意見が出た。本生徒が「自分は怪我をしていて百人一首などができない」と意見を言ったところ、他の生徒から、それは本生徒の都合で、他の生徒には関係ない旨の意見が出た。結局将棋、読書、百人一首にわかれて活動したが、授業後、本生徒は自分の意見を否定されてイライラした様子で、ぶつぶつ独り言を言っていた。

同授業で、本生徒から副担任に「やっていない小テストがありどうしたらよいですか」との質問がなされた。副担任は、火曜日か水曜日の放課後を提案し、怪我で病院に行く必要もあるので家族と相談してくるように言った。

事故前日。この時点で、本生徒が精神的にかなり追い込まれていたとしたら

普段だと流せることも、流せないということはありえる。

まるで、全人類から、自分は否定されているような感覚に陥ることもあるだろう。

自死の原因を特定することは、本当に困難なこと。

今回は、指導死と、報告書では断定しているが

どんなことが影響しあって、そのような新状態に最終的に追い込まれたのかは

明らかにできることではない。

もし、前日に本人のケガへの配慮があったら

もし、前日に好きな食事を用意してくれていたら

もし…

 

みんなが我ごとだと思わなければ、こういった問題はなくならない。

加害を特定し、晒し者にしても、解決にはならない。

 

 

チ 事故当日
平成29年3月14日(火)朝、本件中学校へ車で送って貰った。その日、本生徒は学校に行きたくなさそうな様子で、車中でも口数は少なかった。もっとも、迎えに行くから電話するようにと言われると、本生徒は、「うん、4時か5時くらい」と答えた。午前8時ころに登校後、同級生が1階から2階に上がる本生徒に気づき声をかけたが、本生徒は返事をしなかった。本生徒は朝学習にも参加せず、教室には姿を見せなかった。

同日午前8時25分ころから、本生徒の行方を捜索した結果、3階廊下に本生徒のカバンがあるのを発見し、窓の下を覗くと本生徒が倒れていた。その後教諭が、本生徒が飛び降りたと思われる窓の手すりに本生徒のノートが開いて掛けてあるのを発見した。同日午前10時41分、病院で本生徒の死亡が確認された。

自死の可能性を見つけることって、本当に難しい。

自死って、起こってしまえば、「周りは気づかなかったのか」となるけど

自死がないことは、当然だとされ、話題にもあがらない

自死があったから、関心を示すのでなく、

自死があったから、問題ではなく、

子どもは、関わりみんなが心を寄せていくこと「関心」

学校のせいにする前に、自分の行動を振り替えなければいけない

もう、学校だけに教育を任せ、学校だけに任を負わすことはやめよう

 

 

(5)本件事故は自死であること及びその原因の考察

本件事故発生までの経緯、家族や他生徒への発言、本件事故当時の本件生徒の行動、発見時の状況、遣書とみられるノートの存在などによれば、本件事故は自死であることが明らかである。

本生徒は、中学校2年の10月以降、課題提出の遅れや生徒会の活動の準備の遅れなどを理由に担任や副担任から厳しい指導叱責を受けるようになり、教員の指導に対する不満を募らせていった。叱責を受け、課題の遅れなどに適切に対処できない日々が続く中で、精神面における外傷的な体験をし、自己評価や自尊感情を損ない、事故直前の3月6日以際、担任から生徒会を辞めるようにとの叱責や、副担任から弁解を許さない理詰めの叱責など、関わりの深い担任、副担任の両教員から立て続けに強い叱責を受け、精神的なストレスが大きく高まった。一方で、指導叱責について家族に相談したが、事態が好転せず、絶望感が深まり、自死を選択したものと考えられる。

いじめについては、いじめを疑われる事実がいくつか指摘されたが、具体的ないじめを認定する資料は得られなかった。事実経過からみて、本生徒の悩みは担任、副担任の指導叱責にあり、いじめによる自死ではないと判断した。

家庭については、本生徒と家族との関係は良好であり、軋轢をうかがわせる事実は見当たらなかった。亡くなった際に発見されたノートには家族に関する記載があるが、その内容からすると本生徒が家族に対し、担任、副担任の指導叱責に対する不満を訴えたにも拘らず、事態が改善されなかったことの無力感を表出したものと考えられ、家庭に問題があることを示すものではないと判断した。

 

ここまで、遺書とみられるノートの存在を明らかにしているにもかかわらず、

公開しないのは、やはり遺族の意向か。

 

 

(6)本生徒の自死に関する事項

小・中学校の担任からの聴き取りや本生徒の書いた文章から、本生徒は、バランスのよい文字を書くことや、マスの枠内に文字を収めることが苦手であることがわかる。また、文章を書くことも得意でなく、自分の考えを論理的にまとめて文章表現することを苦手にしていた。

一方、小・中学校の担任・教員からは、本生徒が感情のコントロールが不得手であることが報告されている。また、真面目で、優しく、努力家であるが、対人関係が器用ではない一面もあり、本生徒は対人関係で傷つくことも多かったと思われる。その結果、独り言が増え、ひとりで抱え込む姿がしばしば目撃されている。これらの点から鑑みると、専門機関での診察や検査を受けておらず断定はできないものの、本生徒には発達障害の可能性が想定される。

本生徒の場合、小学校当時に比べ成長を見せていたことなどから判断は容易でなかったとは思われるが、その可能性を意識していれば、本生徒への対応は変わっていた。また、発達障害の有無に関わりなく、本生徒の状況をよく観察すれば、本生徒の課題未提出や生徒会活動の準備等に対し、厳しい指導叱責が不適切であることに気づくことはできた

しかし、担任、副担任とも、本生徒の性格や行動の特性、気持ちを理解しないまま、宿題等の課題提出や生徒会活動の準備の遅れを理由に、担任は大声で叱責するなどし、副担任は執拗な指導を繰り返した。

これらの指導叱責は、本生徒にとっては困難を強いられ、大きな精神的負担となるものであった。副担任の指導に対し、土下座しようとしたり、過呼吸を訴えたことなどは、本生徒の追い詰められた気持ちを示すものである。また、本生徒は、再三登校を嫌がり家族に担任や副担任の指導に対する不満を訴え、家族は担任に本生徒の気持ちを訴え、担任も対応を約束していた。

しかし、担任は本生徒の指導について副担任と協議したり、上司、同僚に詳しい事情を報告するなどの問題解決に向けた適切な行動をとらず、副担任と共に厳しい指導叱責を繰り返した。その結果、本生徒は、担任、副担任の双方から厳しい指導叱責を受けるという逃げ場のない状況に置かれ、追い詰められた。

家庭訪問の事実等を知っていた校長、教頭等の管理職、担任、副担任の指導叱責を目撃したり、相談を受けて事情を知っていた他の教員も、本生徒の気持ちを理解し、適切に対応することはなかった。土下座しようとした件も過呼吸様の症状を訴えた件も家族には知らされなかった。担任、副担任の厳しい指導叱責に晒され続けた本生徒は、孤立感、絶望感を深め、遂に自死するに至った。

学校内での自死という、あってはならない重大な事態を招いたことについては、学校の対応に問題があったと言わざるを得ない。

 

発達障害という概念は、個人的にはそこまで好きではないのですが、

独特の感性やこだわりをもっと子が多いことは事実。

一斉指導や集団行動に、なかなかついてこれない子がいたり、感情のコントロールが苦手だったり。

 

報告書にもあるように、発達障害の有無は関係ない。今回の事件に限らず。

これだけ、社会、家庭、個人が多様性を帯びてきている中で、

ひとりひとり違うのは当たり前のことで、本来は、ひとりひとりに支援方針をたてることが必要なくらい

 

この学校は、不適切な対応だということには、「気づく」とこまでは、できてた。

問題は、気づいていたけど、支援会議を開いたり、関わりを改めたりしなかったという、行動レベルの話

 

保護者はこういうとき、責任を問われにくいが、

発達障害の可能性があるほどと思われる部分があったにもかかわらず

専門機関に相談していなかったとなると、それはどうしてだろうかと、

そこも一考したいところ。

本生徒に対しての適切な声かけや対応を、知りたいと、スクールカウンセラーなら思う。

「信用してたのに」という言葉ほど、無責任な言葉はない。

スクールカウンセラーとしては、教職員にも学校組織にも

「信用」のかわりに、「見立て」を用いる。

信用など、子どもを助ける上で、何の役にも立たない。

 

 

(7)事後対応の問題

学校には、本件事故後、遺族への対応に慎重さや誠実さが欠けていたり、49日前の本生徒宅へのお参りに、希望した生徒全員が参加できなかったことなど不適切な対応があった。

事後対応は、本生徒の家族はもちろん、生徒や学校組織に対する、外部からの緊急支援チームが派遣されることが

重要。そのあたりがどうなっていたかはわからないが、

今、遺族や他の生徒、教職員は、二度目のダメージを受けていることが予想される。

事件が起きた3月期と、情報が公にされ、連日ニュースやSNSで話題にあがる今

このようなことが起きたとき、被害者は、一人ではないということを理解してほしい

 

(8)提言

ア 遺族への謝罪、保護者への説明、報道機関への公表
報告書を踏まえ、学校は速やかに遺族を訪れ、本件事故について、担任、副担任の指導など、学校の対応に問題があったこと、その結果大切な本生徒を追い詰め、自死に至ったことを、率直に認め、謝罪すべきである。また、保護者・報道機関に対し、プライバシーに配慮した上、報告書の内容を公表すべきである。

池田町のホームページには、遺族の意向で、報告書は掲載されていないよう。

現在は、福井ニュースで報告書の概要が見れるようになっている。

報告書が公表されたのは、10月19日で、関係者や遺族がいつ報告書を見たのかはわからないが

「速やかに謝罪」と言われても、6ヶ月以上たっているとなると、速やかさも、謝罪もない

こういうことは起こらないことが一番ですが、初期対応がとても大事

 

イ 教職員の生徒理解と生徒指導力の向上
本生徒には発達障害の可能性があった。発達障害は、様々な態様があり程度も異なり、成長と共に課題も変化するので、教職員としては、その知識や対処方法をきちんと習得しておく必要がある。とりわけ中学校段階では、教員は生徒の学習活動の遅れや生活態度に目がいきがちになるが、根底にある発達特性を踏まえた生徒理解が必要である。学校は、発達障害などを含む適切な生徒理解に向けて研修等を充実させることが肝要である。

生徒指導は、生徒の持つ潜在的な能力を引き出す働きかけでなければならない。そのためには、生徒にとって無理な課題を与えたり、課題未提出に対しいたずらに叱責を繰り返したりするようなことがあってはならない。教育上、時には叱責も必要であるが、他者にわかるような大声の叱責、それを通して他の生徒を威圧するような叱責、生徒の尊厳を傷つけるような叱責、何度も繰り返される叱責はあってはならない。叱責は生徒以上に教師自身の痛みを伴うことであることを自覚すべきである。

発達障害にこだわらず、支援が必要だと思われる生徒に対しては、しっかり支援方針をたてていきたい。

スクールカウンセラーの「見立てる力」は、資質や研鑽に左右されるので

配置されているスクールカウンセラーの力量が不足していると感じるならば

スーパーバイザー制度や、指導主事訪問なども活用していく必要がある

 

ウ 教職員の情報共有、上司への報告の徹底等
教職員としては、生徒への指導に問題があった場合には、問題と対処結果について上司に報告すべきである。また、解決が困難な場合は、速やかに上司等に報告し、指示を仰ぐべきである。賢明な教師であればあるほど、生徒の重要情報を報告し合うことが責任ある態度の示し方であり、適切な判断力を持つ証であるはずである。教師は生徒に関わる重要情報について報告し合い協議する勇気を持たなければならない。

学校の中には、専門や役割の異なる養護教諭、スクールカウンセラー、特別支援教育コーディネーター等が配置されている。また、指導主事訪問、特別支援教育センターや地域人材等の活用も考えられ、近年の学校は、様々な専門の異なるスタッフが教育に参画する場となっており、「チーム学校」の取組が求められている。

しかし、専門の異なる者同士の協働をどう実現すればよいのか、学校はまだ明確な答えを持ち合わせていない。学校は早急に「チーム学校」の体制づくりに取り組むべきである。

学校実施のアンケート調査によれば、複数の生徒が、本生徒が死にたいと言っていた、あるいは聞いたと回答している。教育活動の中で、他の生徒が死にたいなどと言っているのを耳にしたら、速やかに教師等に連絡できるような仲間意識を醸成することが肝心である。

教師は自己研鑽だけでは優れた教師にはなれない。教師は生徒指導に関し、同僚との指導事例の語りと傾聴の中で、自己の指導の限界を知りより適切な指導を導き出していくことができるものである。

学校の中に、生徒のことに関して気軽に話し合う教師同士の学び合う文化を構築していかなければならない。

提言「ウ」については、この学校に限らず

あらゆる学校が抱えている課題

これは、ひとつの学校だけで解決できるような問題ではない。

教職員同士の関係性がよい学校があるとすれば、それは「たまたま」でしかない

たまたま、適切なリーダーシップがとれる管理職がいたり

たまたま、子どもたちが落ち着いている時期であったり

たまたま、いい教員がまわってきているタイミングであったり

 

基本的には、どの学校も危機状態に陥る危うさをもっている

生徒も保護者も教職員も、移り変わっていくから。

 

授業でほとんど、職員室におらず、授業が終われば部活に張り付き

部活が終わってようやく、事務処理やテスト、課題づくり、明日の授業の準備

これでは、生徒の情報交換はおろか、教職員同士の文化を育む余裕などない

 

企業と学校を一緒にしてはいけない

企業はサービスを

学校は教育を提供する場所

 

教育には対話が必要で

対話には、心の余裕が必要

 

報告何度かしてたと思うが

報告しても、何の反応も指示も助けもない場合

その時間が無駄に思えるので、報告をしなくなるのは当然

 

 

エ 校長、教頭等の指導監督責任の自覚
校長は、教職員に問題があったときは、これを組織的に是正できる立場にあり、その職責は重要である。校長は、その重さを十分に自覚し、教職員に対し、生徒指導等について問題を抱えたときは、速やかに状況を報告するように、指導を徹底しなければならない。

また、校長や教頭は、教員から指導上の問題が報告されたときは、真摯に対応し、必要な場合は速やかに職員会議等で検討するなど、問題解決に向けて迅速に対応しなければならない。

校長、教頭は、教職員から報告がなくとも、自ら、教職員の生徒指導等に問題がないか状況把握に努め、問題が感じられたときは、当該教員、他教員、生徒、保護者等、必要な範囲で事情を調査し、速やかに状況を把握し、迅速に対応すべきである。

また、校長、教頭として、発達障害などの生徒理解の研修の機会を設けるべきであるが、発達障害かどうか判断が困難な生徒もあり得るので、学校全体として問題を見逃すことがないよう、検討する組織、機会を設けるべきである。

スクールカウンセラーは、学校組織、校長、教頭、教務、担任、生徒、保護者、地域

そして、それぞれの関係性というあらゆるものをアセスメントする力が求められる。

どこに課題があるかは、学校によって違う。

どうして、叱責だけの問題にできようか。

 

 

オ 家庭や教員集団での話し合いを通じた子ども理解
子どもが最も信頼を寄せる場は家庭である。子どもの支援を求めるシグナルを見落とさないためにも、日頃からの会話を通して、子どもが必死に取り組んでいること、子どもが負担を感じていることなどを保護者が知っていることが、まずもって大切である。子どもの悩みは、保護者では解決できないことが多い。しかし、子どもの想いに共感し一緒に考えようとする保護者の姿勢は、子どもを孤立させない。

本調査委員会では、本生徒の発達障害の可能性を指摘すべきかどうか躊躇したが、学校の中には発達障害を疑われる子どもたちが多々おり、その特性が理解されず、多くの子が苦しんでいることを考え指摘をした。学校では、教師同士が子どもを見合い、話し合うことで、子どもの発達特性に応じた指導を心掛けなければならない。

他の生徒の様子も観察していることがわかる記述。

校内支援体制が、確立していない学校も、少なくない。

そういった学校では、スクールカウンセラーが主導となり

教育相談体制や、校内支援体制を提案し、構築していくことも必要。

 

 

カ 保護者との連携強化
アンケートには、多くの保護者から、学校、教員に対する様々な苦情、不満、提言が寄せられた。学校としては、これら保護者の意見をできるだけ吸収し、学校運営に活かすべきである。

そのため、保護者会のほか、定期的に、保護者との個別相談の機会を増やし、保護者に対するアンケート調査を実施することが考えられる。本件事故後、学校において、生徒との教育相談の頻度を毎月に増やし、校長、教頭、カウンセラーも含めた教職員が月ごとに交代して担当しているとのことであるが、結構なことと考えられる。保護者との個別面接においても参考にすベきである。

保護者を入れた委員による学校評価制度の導入も考えられてよい。学校評議員、学校運営協議会の設置等も検討すべきである。これらは学校のみではよくなしえない。教育委員会を含めた学校と保護者間で協議し、学校と保護者の連携強化のために、どのような方策がよいか協議すべきである。

保護者としても、学校をよくするという立場から、学校の教育にできる限り関わり、問題があれば意見を述べ、学校と協議して、改善に努力していく姿勢が必要である。

我が子の被害や、危機的状況に限定せず、

保護者・地域は積極的に、学校現場に介入していく必要がある時代

「これをいったら、モンスター・ペアレントと思われないか心配で」

と不安な気持ちを抱え相談室にくる保護者も多い

 

何かことが起こっている時に、保護者会を開くことが多いが

それは、保護者会運営の視点でも、かなり辛い

定期的に保護者会をもち、保護者として何ができるか

学校になにを求め、学校は保護者になにを求めるか

大切な子どものため、おしまず協力し合う。当たり前に必要な姿勢。

スクールカウンセラーは、時には保護者をコーディネートすることもある

 

 

キ 教育委員会の取組
教育委員会は、毎月の校長・教頭会のほかに、学校の状況を把握する方法を特に持っていなかった。アンケート等によれば、生徒の中には担任の叱責状況を見て、教育委員会に通報すべきと述べた生徒もいたようである。教育委員会として、そのような声が届く機会をできるだけ設けるべきである。

本件事故後、PTAに教育委員会の職員を参加させているとのことであるが、よいことと思われる。他に方法がないか、さらに検討すべきである。

一般に、教員は報告や課題、部活動で多忙で、余裕がないとの指摘が多い。小規模校における教員負担の問題は、県内の校務分掌上の組織との繋がりとも連関し、当該教育委員会のみではなしえないことかもしれないが、今後とも、教員の負担をできるだけ軽減するよう努められたい。

教育委員会が、記者会見で頭を下げたり、説明をしたりすることは多いが

日常の各学校の様子を、教育委員会が適切に掴むことは、難しい

報告のシステムにのっかるもの(不登校、虐待、緊急支援に該当する事例など)

は把握しているが、教職員関係、管理職リーダーシップ、校内支援体制など

人間関係を中心としたチーム力まで把握することは、

日常的な関わりや現場観察がない限り、不可能

 

以上のようなことで、学校そのものが課題を抱えており

自主回復が難しい場合は、外部・内部かかわらず、教育委員会に報告していく必要がある

 

 

ク 学校事故等調査委員会の在り方
調査委員会の設置に際し、遺族への説明及び了解が充分ではなく、遺族が不安を抱えたままのスタートとなった。調査委員会の設置に際しては、遺族の思いを十分に汲み取った上での設置が望まれる。また調査委員会は、学校や教育委員会からの独立性を確保することが必要であるが、遺族との連絡、学校の生徒や教員及び保護者への連絡については、教育委員会を介さざるを得ない場合があるのが現状である。

今後、このような調査委員会の設置、組織、運営等に関しては、文部科学省や都道府県教育委員会等を含めたルール作りが必要だと思われる。

そうしてください。調査委員会のメンバーも知りたいです。

 

(9)おわりに

「子どもの権利条約」には、保障されるべき子どもの権利が規定されている。すべての子どもは、その子なりに感じる力、考える力を持っている。すべての大人は、その子どもの思いをしっかり聴き、受け止める努力を惜しんではならない。以上

 

お疲れ様でした。

 

たくさん、いろんな方と意見しながら

同じようなことが起こらないようにしていきたいです。

意見を頂いたら、加筆・修正していきたいです。

 

自死生徒に対してできることは、ぼくにとっては、「学ぶこと」です。

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