グッド・ライブス・モデルとは
グッド・ライブス・モデル(グッド・ライフ・モデル)は、T. Ward らが提唱した犯罪処遇モデル。人間は生まれながらに何らかの「よさ」(primary human goods)を追求し、犯罪行為はそれを不適切な手段で得ようとした結果である考える。
内発的動機づけを高めるために接近目標(実現したいと思うようなポジティブな目標)を重視している。その反対は、回避目標(回避したいと思うようなネガティブな目標)
人間が生きる上で必要なものを一次的財、それを得るための具体的な手段を「二次的財」と定義した。
一次的財 | 二次的財 |
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生活:生きることと生き残ること(健康的な生活と機能,基本的ニーズ) | 収入を得て基本的なニーズを満たすこと,体を動かすこと,健康に関係する滋養を取ること,健康管理すること,体がちゃんと機能すること |
知識:学ぶことと知ること (知識欲及び自分自身の世界について堪能すること) |
学校,研修,職業訓練コースに通うこと,自己学習すること,非公式な活動に従事すること,治療に加わること,自己援助活動に従事すること |
遊びや仕事での卓越した技能(仕事やレジャーを習得する) | スポーツをすること,他のレジャー/レクリエーション活動に加わること,趣味に従事すること,研修を受けること, 資格を得ること,実習に参加すること |
行為主体性 (個人的な選択を自由) |
特定の目標を達成するための計画を実行すること,自立できるための活動に従事すること,自分のニーズを他者に伝えること |
心の安らぎ (感情統制) |
感情的な苦痛を最小限にする/心の平穏を得ること,特定の活動(身体運動や瞑想)に従事すること |
関係性と友情 (親密な関係,愛情関係,家族関係) |
新しい人と出会うことや人との関係を維持することを促すような社会的な活動やそれ以外の活動に従事すること |
共同体意識 (集団の一部であること) |
地域の活動に参加すること,ボランティア活動に従事すること |
精神性 (人生に意味を持つこと) |
宗教的,精神的行事に公的に参加すること |
幸福 (人生において満足した経験である状態) |
楽しい活動に従事すること(レジャー活動,スポーツ,セックス) |
創造性 (目新しさや革新を求めること) |
これまで試みたことがないような,新しい斬新な経験をすること,学術的で創造的な活動に従事すること |
第5回公認心理師試験に出題
T. Ward らが提唱したグッド・ライブス・モデル〈Good Lives Model〉について、不適切なものを 1 つ選べ。
- クライエントにとっての接近目標と自己管理を重視している。
- 性犯罪者のリラプス・プリベンション・モデルに基づいたモデルである。
- 人間の尊厳や権利を重視し、ポジティブ心理学的アプローチをとっている。
- クライエントを社会の中に包摂し、その立ち直りへの動機づけを高めるものである。
- 一次的財〈primary goods〉とは人間が生きる上で必要なもので、行為主体性、友情など 11 の項目が挙げられている。
解答
②
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