EAP:Employee Assistance Program(従業員支援プログラム)
従来のメンタルヘルス対策は、病気になった人の医療的な支援に焦点があてられていたが、EAPは業績、生産性の維持・向上という点に着目し、医療的な支援だけでなく、早期発見や予防、組織の改革まで踏み込む。アメリカでは、EAPを導入することにより、医療費、傷病手当の削減、労働災害、欠勤日数の減少、ストレス症状の軽減などによって、生産性が向上したという効果が実証されている。アメリカでは、従業員50人以上の企業のほぼ100%がEAPを導入している。GAF尺度を用いる。
EAPの定義
- 職場の生産性を向上させるために、行動科学(人間の行動に関する一般法則を体系的、総合的に究明する学問療育)の観点から個人や企業に解決策を提供するプログラム。
- 組織が健康に機能し、個人が十分能力を発揮できるように、組織と人にコンサルテーションを行う。
- 職場のストレス、対人関係、セクハラ、育児、介護など、知らず知らずのうちにプレッシャーとなっている原因と客観的に向き合い、解決の糸口を探し、健康な状態を維持するのをサポートする。
EAコンサルタント
EAPを提供する専門家。心理・精神療法などの専門知識のほかに、組織に対するコンサルテーションのスキルも併せ持つ。
内部EAP
EAコンサルタントが社内に常駐して社員の相談を受ける。EAコンサルタントを社員として雇用し、EAPサービスを従業員に提供する。
外部EAP
EAPサービスの専門会社に業務委託をする。委託を受けたEAPサービス会社のコンサルタントやカウンセラーが、電話や訪問などで社員からの相談を受ける。
コンソーシアム型EAP
内部EAPと外部EAPの折衷型ともいえる複数の同種の企業(病院、大学など)が共同出資して、ひとつのEAPオフィスを社員のために作る。アメリカ企業の約8割以上は、外部EAPを活用している。大企業以外は、外部EAPを活用する。
EAPコア・テクノロジー
- 組織のリーダー(管理職、組合員、人事)へのコンサルテーションやトレーニングを通して、問題を抱える社員に対するマネジメント能力を向上させ、職場環境、社員の業績・生産性の向上を図る。EAPを理解してもらうための啓蒙活動を実施する。
- 個人的な問題によって社員の業績・生産性が落ちている、あるいは落ちうる社員への秘密厳守で迅速な問題発見および、アセスメント(問題把握のための評価面接)の提供。
- 業績・生産性に影響を与えている個人的な問題を持つ社員への建設的な問題の直面化、動機づけ、短期介入(カウンセリング、コンサルテーション)を通して、個人的な問題と業績・生産性低下の関係に気すかせる。
- 治療機関への紹介。ケースのモニター、フォローアップを行う。
- 外部の医療機関やカウンセリングセンターなどの治療機関との効果的な関係を確立、維持する。委託契約の管理や運営をする。
- アルコール問題および精神的・心理的治療を、社員の医療保険、福利厚生の中に含み、社員が利用できるように、組織に働きかける。
- 組織や個人の業績・生産性へのEAPによる効果を確認する。
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