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第3回公認心理師試験141〜150

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問141  16歳の男子A、高校1年生。Aは、友達と一緒に原動機付自転車の無免許運転をしていたところを逮捕され、これを契機に、教師に勧められ、スクールカウンセラー Bのもとを訪れた。Aには非行前歴はなく、無免許運転についてしきりに「友達に誘われたからやった」「みんなやっている」「誰にも迷惑をかけていない」などと言い訳をした。Bは、Aの非行性は進んでいるものではなく、善悪の区別もついているが、口実を見つけることで非行への抵抗を弱くしていると理解した。BがAの非行を理解するのに適合する非行理論として、最も適切なものを1つ選べ。

  1. A.K.Cohenの非行下位文化理論
  2. D.Matzaの漂流理論
  3. E.H.Sutherlandの分化的接触理論
  4. T.Hirschiの社会的絆理論
  5. T.Sellinの文化葛藤理論

問142 55歳の男性A、会社員。Aの妻Bが、心理相談室を開設している公認心理師Cに相談した。Aは、元来真面目な性格で、これまで常識的に行動していたが、2、3か月前から身だしなみに気を遣わなくなり、部下や同僚の持ち物を勝手に持ち去り、苦情を受けても素知らぬ顔をするなどの行動が目立つようになった。先日、Aはデパートで必要とは思われない商品を次々とポケットに入れ、支払いをせずに店を出て、窃盗の容疑により逮捕された。現在は在宅のまま取調べを受けている。Bは、逮捕されたことを全く意に介していない様子のAについて、どのように理解し、対応したらよいかをCに尋ねた。 CのBへの対応として、最も優先度が高いものを1つ選べ。

  1. Aの抑圧されていた衝動に対する理解を求める。
  2. Aの器質的疾患を疑い、医療機関の受診を勧める。
  3. Aに内省的構えを持たせるため、カウンセリングを受けるよう勧める。
  4. Aに再犯リスクアセスメントを実施した後、対応策を考えたいと提案する。
  5. Aの会社や家庭におけるストレスを明らかにし、それを低減させるよう助言する。
解答

これまで常識的に行動していた2、3か月前から身だしなみに気を遣わなくなり(急激な性格変化)
部下や同僚の持ち物を勝手に持ち去り、苦情を受けても素知らぬ顔をするなどの行動や
窃盗の容疑により逮捕されたが、全く意に介していない(行動障害、自己統制障害)

から認知症(前頭側頭型認知症)などを疑うべき状態である。

問143 20代の男性A、会社員。Aは300名の従業員が在籍する事業所に勤務している。Aは、うつ病の診断により、3ヶ月前から休職している。現在は主治医との診察のほかに、勤務先の企業が契約している外部のメンタルヘルス相談機関において、公認心理師Bとのカウンセリングを継続している。抑うつ気分は軽快し、睡眠リズムや食欲等も改善している。直近3週間の生活リズムを記載した表によれば、平日は職場近くの図書館で新聞や仕事に関連する図書を読む日課を続けている。職場復帰に向けた意欲も高まっており、主治医は職場復帰に賛同している。次にBが行うこととして、最も適切なものを1つ選べ。 

  1. 傷病手当金の制度や手続について、Aに説明する。
  2. Aの診断名と症状について、管理監督者に報告する。
  3. 職場復帰の意向について管理監督者に伝えるよう、Aに提案する。
  4. 職場復帰に関する意見書を作成し、Aを通して管理監督者に提出する。
  5. Aの主治医と相談しながら職場復帰支援プランを作成し、産業医に提出する。

問144 35歳の男性A、会社員。Aは、製造業で1000名以上の従業員が在籍する大規模事業所に勤務している。約3か月前に現在の部署に異動した。1か月ほど前から、疲労感が強く、体調不良を理由に欠勤することが増えた。考えもまとまらない気がするため、健康管理室に来室し、公認心理師Bと面談した。AはBに対して、現在の仕事を続けていく自信がないことや、部下や後輩の指導に難しさを感じていること、疲労感が持続していることなどを話した。前月の時間外労働は約90時間であった。このときのBの対応として、最も適切なものを1つ選べ。 

  1. 面談内容に基づき、Aに休職を勧告する。
  2. Aの上司に連絡して、業務分掌の変更を要請する。
  3. 医師による面接指導の申出を行うよう、Aに勧める。
  4. 積極的に傾聴し、あまり仕事のことを気にしないよう、Aに助言する。
  5. 急性のストレス反応であるため、秘密保持義務を遵守してAの定期的な観察を続ける。
解答

1000名以上の従業員が在籍する大規模事業所であることから、産業医がいることがわかる。まずは、産業医との面接を勧めることが妥当。

職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~も参照。

問145 20歳の女性A、大学2年生。Aは「1か月前くらいから教室に入るのが怖くなった。このままでは単位を落としてしまう」と訴え、学生相談室に来室した。これまでの来室歴はなく、単位の取得状況にも問題はみられない。友人は少数だが良好で家族との関係にも不満はないという。睡眠や食欲の乱れもみられないが、同じ頃から電車に乗ることが怖くなり、外出が難しいと訴える。公認心理師である相談員が、インテーク面接で行う対応として、不適切なものを1つ選べ。 

  1. Aに知能検査を行い知的水準を把握する。
  2. Aが何を問題だと考えているのかを把握する。
  3. Aがどのような解決を望んでいるのかを把握する。
  4. 恐怖が引き起こされる刺激について具体的に尋ねる。
  5. 恐怖のために生じている困り事について具体的に尋ねる。
解答

問146 55歳の男性A、会社員。Aは、意欲や活気がなくなってきたことから妻Bと共に受診した。Aは4か月前に部長に昇進し張り切って仕事をしていたが、1か月前から次第に夜眠れなくなり、食欲も低下した。仕事に集中できず、部下に対して適切に指示ができなくなった。休日は部屋にこもり、問いかけに何も反応しないことが多くなり、飲酒量が増えた。診察時、問診に対する反応は鈍く、「もうだめです。先のことが見通せません。こんなはずじゃなかった」などと述べた。血液生化学検査に異常所見はみられなかった。診察後、医師から公認心理師Cに、Bに対して家族教育を行うよう指示があった。CのBへの説明として、不適切なものを1つ選べ。

  1. 薬物療法が治療の1つになります。
  2. 入院治療が必要になる可能性があります。
  3. できる限り休息をとらせるようにしてください。
  4. 今は落ちついているので自殺の危険性は低いと思います。
  5. 気晴らしに何かをさせることは負担になることもあります。
解答

問147 12歳の女児A、小学6年生。Aは、7月初旬から休み始め、10月に入っても登校しなかったが、10月初旬の運動会が終わった翌週から週に一度ほど午前10時頃に一人で登校し、夕方まで保健室で過ごしている。担任教師は、Aと話をしたり、保護者と連絡を取ったりしながら、Aの欠席の原因を考えているが、Aの欠席の原因は分からないという。スクールカウンセラー BがAと保健室で面接をした。Aは「教室には絶対に行きたくない」と言っている。BのAへの対応として、不適切なものを1つ選べ。 

  1. 可能であれば保護者にAの様子を尋ねる。
  2. Aがいじめ被害に遭っていないかを確認する。
  3. 家庭の状況について情報を収集し、虐待のリスクを検討する。
  4. 養護教諭と連携し、Aに身体症状がないかどうかを確認する。
  5. Aが毎日登校することを第一目標と考え、そのための支援方法を考える。
解答

問148  A社は、新規に参入した建設業である。最近、高所作業中に作業器具を落下させる事例が立て続けに発生し、地上で作業する従業員が負傷する事故が相次いだ。そのため、事故防止のための委員会を立ち上げることになり、公認心理師が委員として選ばれた。委員会では、行政が推奨する落下物による事故防止マニュアルが用いられている。事故防止の仕組みや制度の提案として、不適切なものを1つ選べ。 

  1. マニュアルの見直し
  2. 規則違反や不安全行動を放置しない風土づくり
  3. 過失を起こした者の責任を明らかにする仕組みづくり
  4. 過去のエラーやニアミスを集積し、分析する部門の設置
  5. 従業員にエラーやニアミスを率直に報告させるための研修
解答

問149 17歳の女子A、高校2年生。Aは、自傷行為を主訴に公認心理師Bのもとを訪れ、カウンセリングが開始された。一度Aの自傷は収束したが、受験期になると再発した。AはBに「また自傷を始めたから失望しているんでしょう。カウンセリングは辞めたいって思っているんでしょう」ということが増えた。BはAの自傷の再発に動揺していたが、その都度「そんなことないですよ」と笑顔で答え続けた。ある日、Aはひどく自傷した腕をBに見せて「カウンセリングを辞める。そう望んでいるんでしょう」と怒鳴った。この後のBの対応として、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 再発した原因はB自身の力量のなさであることを認め、Aに丁重に謝る。
  2. 自傷の悪化を防ぐために、Aの望みどおり、カウンセリングを中断させる。
  3. 再発に対するBの動揺を隠ぺいしたことがAを不穏にさせた可能性について考え、それをAに伝える。
  4. 自傷の悪化を防ぐために、Bに責任転嫁をするのは誤りであるとAに伝え、A自身の問題に対する直面化を行う。
解答

問150 9歳の男児A、小学3年生。Aは、注意欠如多動症/注意欠如多動性障害〈AD/HD〉と診断され、服薬している。Aは、待つことが苦手で順番を守れない。課題が終わった順に担任教師Bに採点をしてもらう際、Aは列に並ばず横から入ってしまった。Bやクラスメイトから注意されると「どうせ俺なんて」と言ってふさぎ込んだり、かんしゃくを起こしたりするようになった。Bは何回もAを指導したが一向に改善せず、対応に困り、公認心理師であるスクールカウンセラーCに相談した。CがBにまず伝えることとして、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 学級での環境調整の具体案を伝える。
  2. Aに自分の行動や反省をさせる必要があると伝える。
  3. Aがルールを守ることができるようになるまで繰り返し指導する必要があると伝える。
  4. Aの年齢を考えると、この種の行動は自然に収まるので、特別な対応はせず、見守るのがよいと伝える。
解答

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