死の受容プロセス
エリザベス・キューブラー・ロス(Elisabeth Kübler-Ross)は著書「死ぬ瞬間(1969年)」の中で「死の受容プロセス」を提唱している。
第一段階:否認 | 病気や死を「真実ではない」と否認する |
第二段階:怒り | 真実を認めざるを得なくなると、怒り、恨み、ねたみなどの感情が起こる。 |
第三段階:取引き | 神様や運命などに「よい患者になります」などと申し出をし、その見返りとして延命などの願いを叶えてもらおうとする。 |
第四段階:抑うつ | 症状が進行し、衰弱してくると、病院によって失った多くのものを前に絶望する。愛する人々を残して1人この世からいなくなる悲しみのために抑うつ的になる。 |
第五段階:受容 | 痛みも感情もほとんどなくなり、平穏な休息のときとなる。衰弱しきり、うとうととまどろみ、静かに最後を迎える。 |
第5回公認心理師試験に出題
E. Kübler-Rossが提唱した死に対する心理的反応段階に含まれないものを 1 つ選べ。
- 怒り〈anger〉
- 否認〈denial〉
- 受容〈acceptance〉
- 離脱〈detachment〉
- 取り引き〈bargaining〉
解答
④
第1回公認心理師試験に出題
55歳の男性。肺癌の終末期で緩和ケアを受けている。家族に寄れば、最近苛立ち安く、性格が変わったという。夜間はあまり眠らず、昼間に眠っていることが多い。
この患者の状態を評価する項目として、最も優先すべきものを1つ選べ。
- 幻覚
- 不安
- 意欲低下
- 見当識障害
- 抑うつ気分
解答
④
①と③については、それらに関連する記述がないため、除外。不安は、終末期の患者の根底に付きまとっている感情であり、この患者の状態を評価する項目として、最も優先すべきかは疑問である。
キューブラー・ロスの死の受容のプロセスでは
- 否認
- 怒り
- 取引
- 抑うつ
- 受容
という流れを辿ると考えられており、この中に「抑うつ」は含まれる。抑うつの症状としては、怒りや昼夜逆転が含まれているため、⑤の抑うつ気分が適切であるようには思うが、公式解答では正答は④。
せん妄による見当識障害などは考えられる。
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