第1回公認心理師試験過去問題81〜90

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問81 研究の目的を偽って実験を行い、実験の終了後に本来の目的を説明することによって、実験の参加者に生じた疑念やストレスを取り除く研究倫理上の行為として、正しいもの1つ選べ。

  1. 個人情報保護
  2. ディセプション
  3. フィードバック
  4. デブリーフィング
  5. インフォームド・コンセント
解答

deception(ディセプション)は実験の本当の目的を対象者に知らせず、別の日的であると偽って実験を行なうことであり、その後にdebriefing(デブリーフィング)を行う。これは、実験が終了したときに被験者に与える説明のことを言い、ディセプションを行なった場合は、重要となる。

インフォームド・コンセントは、知識のある上での合意を指す。

問82 心理物理学の実験において、反応バイアスを含まない測定を目指す方法として、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 極限法
  2. 調整法
  3. 一対比較法
  4. 二肢強制選択法
  5. マグニチュード推定法
解答

心理物理学的測定法を参照。

問83 観察法において、観察対象者に起こりそうな行動の一覧表を用意し、観察結果を記録する方法として、正しいものを1つ選べ。

  1. 日誌法
  2. 行動描写法
  3. 行動目録法
  4. 場面見本法
  5. トランスクリプト
解答

観察法を参照。

問84 長期記憶について、正しいものを1つ選べ。

  1. 宣言的記憶〈declarative memory〉は手続的記憶とも呼ばれる。
  2. 意味記憶〈semantic memory〉は時間的文脈と空間的文脈とが明確な記憶である。
  3. エピソード記憶〈episode memory〉は一般的な知識としての事実に関する記憶である。
  4. 顕在記憶〈explicit memory〉と潜在記憶〈implicit memory〉とは記銘時の意識の有無によって分けられる。
  5. 非宣言的記憶〈nondeclarative memory〉は技能・習慣、プライミング及び古典的条件づけの3つに分けられる。
解答

宣言的記憶〈declarative memory〉は、陳述記憶とも呼ばれる。

意味記憶〈semantic memory〉は一般的な知識としての事実に関する記憶である。

エピソード記憶〈episode memory〉は個人が経験してきた出来事に関する記憶。

顕在記憶〈explicit memory〉と潜在記憶〈implicit memory〉とは想起時の意識の有無によって分けられる。

問85 コミュニケーションと言語の発達について、正しいものを1つ選べ。

  1. 発達初期に出現する語彙は、動詞や形容詞が名詞よりも多い。
  2. 語彙の増加は、初語の出現から就学まで概ね均質なスピードで進む。
  3. 指さし、リーチングなどとともに生後6か月頃から頻繁に観察されるようになる。
  4. 生後9〜10か月頃からみられる、対象に対する注意を他者と共有する行動を共同注意と呼ぶ。
  5. クーイングとは、乳幼児の後半からみられる「ババババ」などの同じ音を繰り返し発声することをいう。
解答

発達初期に出現する語彙は、動詞や形容詞よりも名詞が多い。

2歳前後に、語彙が急激に増加する「語彙爆発」と呼ばれる時期がある。

指さし、リーチングなどとともに生後9か月頃から頻繁に観察されるようになる。

クーイングとは、生後2〜4ヶ月頃、のどが少しずつ発達してきた時に赤ちゃんが出す「うー」「あー」(母音)などの声のこと。

問86 基本感情説における基本感情について、最も適切なものを1つ選べ。

  1. それぞれの感情が特異的な反応と結びついている。
  2. 大脳皮質を中心とする神経回路と結びついている。
  3. 発達の過程を通して文化に固有のものとして獲得される。
  4. 喜び、怒り及び悲しみといった感情概念の獲得に依存する。
  5. 快ー不快と覚醒ー睡眠の二次元の感情空間によって定義される。
解答

特定の刺激を知覚すると生じ、固有の表情・姿勢を表出させる。

大脳辺縁系を中心とする神経回路と結びついている。
通文化的普遍性があると主張されている。文化に固有のものと主張するのは、社会的構成主義。
喜び、怒り及び悲しみといった感情概念の獲得に依存するのは、心理的構成主義の立場。
快ー不快と覚醒ー睡眠の二次元の感情空間によって定義したのはRussell, J.(ラッセル)の 次元論。

問87 中枢神経系のうち、意識水準の維持に必須の領域として、正しいものを1つ選べ。

  1. 小脳
  2. 前頭葉
  3. 大脳基底核
  4. 大脳辺縁系
  5. 脳幹網様体
解答

小脳
前頭葉
大脳基底核
大脳辺縁系
脳幹網様体

問88 視床下部の機能として、正しいものを1つ選べ。

  1. 運動協調の調節
  2. 摂食行動の調節
  3. 対光反射の中枢
  4. 体性感覚の中継
  5. 短期記憶の形成
解答

視床下部外側野は摂食行動を促進するので摂食中枢、視床下部腹内側野は摂食行動を抑制するので満腹中枢と呼ばれる。

運動協調の調節は、大脳基底核
対光反射の中枢は、中脳
体性感覚の中継は、視床
短期記憶の形成は、大脳辺縁系の海馬。

問89 J.Piagetの発達理論について、正しいものを1つ選べ。

  1. 外界に合わせてシェマを改変する過程を「異化」という。
  2. 「具体的操作期」になると、速度、距離、時間など変数間の数量的な関係が理解できるようになる。
  3. 「自己中心性」とは、何事も自分中心に考える幼児期の利己的な心性を表し、愛他心の弱さを特徴とする。
  4. 積木をサンドイッチに見立てて食べるまねをするような「ふり遊び」は、表象の能力が発達する幼児期の後半から出現する。
  5. 水を元のコップよりも細長いコップに入れ替えると液面が高くなるが、幼児期の子どもは水の量自体も変化したと考えてしまう。
解答

保存の概念に関する問題。

外界に合わせてシェマを改変する過程を「調節」という。

「形式的操作期」になると、速度、距離、時間など変数間の数量的な関係が理解できるようになる。

「自己中心性」とは、客観的に物事を捉えることができず、自分自身の視点を中心に物事を捉える子どもの思考特徴であり、利己的な心性や愛他心の弱さを言うものではない。

積木をサンドイッチに見立てて食べるまねをするような「ごっこ遊び」をピアジェは象徴機能の一部と捉えた。2歳ごろの幼児期初期から出現する。

問90 ストレンジ・シチュエーション法によるアタッチメントのタイプ分類(A:回避型、B:安定型、C:抵抗/アンビバレント型、D:無秩序・無方向型)について、最も適切なものを1つ選べ。

  1. Aタイプの養育者は、子どもに対して虐待など不適切な関わりをしていることが多い。
  2. AタイプとCタイプの子どもは、再会場面で感情が元どおりに回復せずに、怒りの感情を表すことがある。
  3. BタイプとCタイプの子どもは、分離場面で強く泣くなどの苦痛を表出する。
  4. Cタイプの養育者は、子どもに対して拒絶的にふるまうことが多い。
  5. Dタイプの養育者は、子どものシグナルに養育者自身の都合で応答するなど一貫性を欠く傾向がある。
解答

ストレンジ・シチュエーション法を参照。

子どもに対して虐待など不適切な関わりをしていることが多いのは、Dタイプ。

Cタイプの子どもは、再会場面で感情が元どおりに回復せずに、怒りの感情を表すことがある。

Cタイプの子どもは、分離場面で強く泣くなどの苦痛を表出する。

Aタイプの養育者は、子どもに対して拒絶的にふるまうことが多い。

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