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問151 50歳の女性A、看護師。Aは看護師長として、職場では部署をまとめ、後進を育てることが期待されている。これまで理想の看護を追求してきたが、最近は心身ともに疲弊し、仕事が流れ作業のように思えてならない。一方、同居する義母の介護が始まり、介護と仕事の両立にも悩んでいる。義母やその長男である夫から、介護は嫁の務めと決めつけられていることがAの悩みを深め、仕事の疲れも影響するためか、家庭ではつい不機嫌になり、家族に強く当たることが増えている。Aの事例を説明する概念として、不適切なものを1つ選べ。
- スピルオーバー
- エキスパート・システム
- ジェンダー・ステレオタイプ
- ワーク・ファミリー・コンフリクト
問152 16歳の男子A、高校1年生。Aは、スクールカウンセラーBのいる相談室に来室した。最初に「ここで話したことは、先生には伝わらないですか」と確認した上で話し出した。「小さいときからズボンを履くのが嫌だった」「今も、男子トイレや男子更衣室を使うのが苦痛でたまらない」「こんな自分は生まれてこなければよかった、いっそのこと死にたい」「親には心配をかけたくないので話していないが、自分のことを分かってほしい」と言う。BのAへの初期の対応として、適切なものを2つ選べ。
- Aの気持ちを推察し、保護者面接を行いAの苦しみを伝える。
- 性転換手術やホルモン治療を専門的に行っている病院を紹介する。
- 誰かに相談することはカミングアウトにもなるため、相談への抵抗が強いことに配慮する。
- クラスメイトの理解が必要であると考え、Bから担任教師へクラス全体に説明するよう依頼する。
- 自殺の恐れがあるため、教師又は保護者と情報を共有するに当たりAの了解を得るよう努める。
①、④は本人の了解を得られないまま行うことはアウティング(他人の秘密を暴露すること)になる。
②については、今後継続的に面接を行なっていく中での対応としてはあり得るが、この時点での初期の対応としては不適切。
問153 14歳の男子A、中学2年生。Aについて担任教師Bがスクールカウンセラーである公認心理師Cに相談した。Bによれば、Aは小学校から自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害〈ASD〉の診断を受けているとの引継ぎがあり、通級指導も受けている。最近、授業中にAが同じ質問をしつこく何度も繰り返すことや、寝ているAを起こそうとしたクラスメイトに殴りかかることが数回あり、BはこのままではAがいじめの標的になるのではないか、と危惧している。Cの対応として適切なものを2つ選べ。
- 保護者の了解を得て主治医と連携する。
- 周囲とのトラブルや孤立経験を通して、Aに正しい行動を考えさせる。
- Aから不快な言動を受けた子どもに、発達障害の特徴を伝え、我慢するように指導する。
- Aの指導に関わる教師たちに、Aの行動は障害特性によるものであることを説明し、理解を促す。
- 衝動的で乱暴な行動は過去のいじめのフラッシュバックと考え、過去のことは忘れるようにAに助言する。
②は、その経験によって人に対してのトラウマ記憶として残る可能性があり、今後の人間関係に大きな影響が出る経験になってしまう。このような二次障害的体験を防ぐことが支援である。
③本人や保護者の了解なく、このような行為を行うことはできない。
⑤自閉スペクトラム症のタイムスリップ現象は、特性の一つとして考えられている。助言した程度で忘れることができるならば、苦労しない。
問154 中学校の担任教師A。Aは、同じ部活動の女子中学生3名について、スクールカウンセラーBに、次のように相談した。3名は、1か月ほど前から教室に入ることができずに会議室で勉強しており、Aが学習指導をしながら話を聞いていた。先日、生徒たちの表情も良いため、教室に入ることを提案すると、3名は「教室は難しいが、放課後の部活動なら見学したい」と言った。早速、Aが学年教師の会議で報告したところ、他の教師から「授業に参加できない生徒が部活動を見学するのは問題があるのではないか」との意見が出された。この場合のBの対応として、適切なものを2つ選べ。
- 部活の顧問と話し合う。
- Aに援助チームの構築を提案する。
- Bが学年教師の会議に参加して話し合う。
- 学年教師の会議の意見に従うようA に助言する。
- Aがコーディネーターとして機能するように助言する。
最後にして、よくわからない問題。④だけはすぐ消えるが…
①については、同じ部活動の3人であるため、この部活動が無関係というわけではなさそうである。部活動は見学したいと言っているのも、理由がよくわからないため部活動の顧問から状況を聞くことは情報収集としてはあり得る。他の項目と違い、①のみ主体が書かれておらず、AなのかBなのか、両方なのかがわからないが、話し合うことは一つ意義あることではあるように思う。ただし、コンサルテーションという観点からすると、そのようにAに助言するであれば正しいか。
②については、担任業務があるにも関わらず、「1か月間」「別室登校対応」で「学習指導」を行いながら「教育相談」も担っているため、担任の負担がかなり大きいことがわかる。学年での意見も分かれているので、援助チームを構築し、3人の支援をチームですすめていくことは適切と思われる。
③を否定する立場で考えると、コンサルテーションの域を超えていることになる。けれど、まぁ行為としては正しいか。
④は論外。選んだ人は、公認心理師にはなれません。
⑤は、コンサルテーションの視点では正しいと言えるが、機能的になるまでには時間がかかるため、不正解か。
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