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スクールカウンセラー の守秘義務は
「こうすればいい」と決めることができず
初任からベテランまでが、ずっと悩みながら付き合っていくものだと思います。
カウンセリングで得たクライエントの情報は、基本的に守秘に該当するものですが
学校という組織で働く上で、その情報を共有した上で恊働することで
子どもや保護者の支援に役立つことも多いです。
法律的に守秘義務を守らなくていい場合として明記されているのは「児童虐待の通告義務」
- 児童虐待防止法で、第6条において、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに福祉事務所・児童相談所に通告しなければならないとされている。
また、公認心理師法案の中では、「義務」の中で
1 信用失墜行為の禁止
2 秘密保持義務(違反者には罰則)
3 公認心理師は、業務を行うに当たっては、医師、教員その他の関係者との連携を保たねばならず、心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治医があるときは、その指示を受けなければなら ない。
と明記されています。
公認心理師必携テキストでは、守秘義務の例外的状況として以下が書かれています。
- 明確で差し迫った生命の危険があり、攻撃される相手が特定されている場合
- 自殺など、自分自身に対して深刻な危害を加えるおそれのある緊急事態
- 虐待などが疑われる場合
- そのクライエントのケアなどに直接関わっている専門家同士で話し合う場合(相談室内のケース・カンファレンスなど)
- 法による定めがある場合
- 医療保険による支払いが行われる場合
- クライエントが、自分自身の精神状態や心理的な問題に関連する訴えを裁判などによって提起した場合
- クライエントによる明示的な意思表示がある場合
公認心理師必携テキストより
学校で、ポイントとなってくるのが4と8。
守秘の問題をクリアにするためには、8のように
しっかり、子どもや保護者に
「このことは重要なことなので、学校にも伝えておいたほうがいいと思いのですがどうですか」
などと言い、明確に誰になら伝えていいかの確認をとっておくことが基本です。
また、その同意が様々な事情で得られなかったりする場合もあります。
ここで、問題となってくるのが4について。
守秘義務の問題は、その情報の守秘性のみに問題があるわけではなく
それを伝える相手や学校の状況、そして、それらとSCの関係性などが問題となってきます。
ある学校では、情報を共有することで、いい方向い進むこともあれば
逆に、悪い方向に進むこともあります。
それは例えば、教職員の中に守秘に関する認識が甘いものがいて、他に漏らしてしまう場合や
聞いただけで何もしない、もしくはできるような力がその学校組織集団にない場合など。
その場合は、その守秘を共有する価値がなく、むしろ危険な可能性もあるので
共有を避けるという選択を取り、外部(警察、児相など)に情報を提供するほうが良いこともあります。
学校での守秘義務の問題が、ずっとつきまとうのは
- そのケースの内容及び守秘性
- 管理職の方針
- 学校組織としての機能
- 担任の捉え方
- SCの力量
- SCと教職員との関係性
などの問題が複雑に絡み合うからです。
そのような背景があるにも関わらず、
守秘義務の守秘性にのみ目を向けすぎることが問題なのです。
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