臨床心理学の歴史
アメリカの心理学者,ウィットマー(Witmer,L.)が,クリニカルサイコロジー,つまり「臨床心理学」という言葉を1896年にアメリカ心理学会で提唱したとされている。またウィットマー(Witmer,L.)はクリニカルサイコロジーを提唱したと同時に,サイコロジカルクリニックという施設をつくった。大山(2006)によれば「このクリニックでは,学校での学習に困難を示す子どもが学校経由で紹介され,治療が行われた。(中略)記録に残っている例をみれば,失語症やコミュニケーション障害をはじめ,現在ではいわゆる発達障害として分類される子どもたちが対象となっていたようである。これらの子どもたちは,社会的ルールの獲得に失敗したり,発達的な遅れがあったりするために,そうした障害を示すと考えられていた。そして彼らに対して決まりきった処置をおこなうのではなく,個別的に子どもと接していく中で,介入と支援が工夫されていた。(中略)このように臨床心理学は,現在の日本の臨床心理学の領域からすれば,発達臨床,学校臨床から始まったといえる」と説明されている。ウィットマー(Witmer,L.)が『クリニカル』という言葉を使った理由として,子どもの一人一人の能力に個別に合わせて指導しなければならない,一人一人の個性を重んじて取り扱う,そういったことをさして『クリニカル』と表現したとされている。
臨床心理学の歴史は,他の学問と比べても,提唱されてからの年月は浅いと言える。その中でも,臨床心理学はその時代や社会に必要とされ,めまぐるしく変化してきた。
参考・引用:大山泰宏 2006 臨床心理学の歴史の臨床性 新臨床心理学入門 日本評論社
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