前頭側頭型認知症(ピック病)とは
前頭側頭型認知症 (Frontotemporal dementia:FTD)とは、前頭側頭葉変性症(FTLD)の中核的な病気。以前はピック病と呼ばれていた。大脳のうち前頭葉と側頭葉が特異的に委縮する病気。若年性認知症のひとつで、性格変化や行動障害が目立つ。四大認知症の一つ。
アルツハイマー型認知症 | FTD | |
---|---|---|
病気部位 | 脳の後頭葉や頭頂 | 脳の前頭葉や側頭葉 |
症状 | 記憶障害 | 性格変化・行動障害 |
研究 | 研究が進んでおり、認知度も高い | 不明な点が多く、認知度も低い |
発症 | 高齢、女性にやや多い | 若年性 |
脱抑制行動
抑制が効かなくなり、衝動的に反応したり、欲求の本能のおもむくままに行動したりする。FTDの中核となる症状の一つである。
常同行動
特定の行為、行動を繰り返す。FTDに高頻度にみられる症状。
第5回公認心理師試験に出題
認知症の行動・心理症状[behavioral and psychological symptoms of dementia〈BPSD〉]について、最も適切なものを 1 つ選べ。
- 生活環境による影響は受けない。
- 前頭側頭型認知症では、初期からみられる。
- 治療では、非薬物療法よりも薬物療法を優先する。
- Alzheimer 型認知症では、幻視が頻繁にみられる。
- 単一の妄想として最も頻度が高いのは、見捨てられ妄想である。
第3回公認心理師試験に出題
問142 55歳の男性A、会社員。Aの妻Bが、心理相談室を開設している公認心理師Cに相談した。Aは、元来真面目な性格で、これまで常識的に行動していたが、2、3か月前から身だしなみに気を遣わなくなり、部下や同僚の持ち物を勝手に持ち去り、苦情を受けても素知らぬ顔をするなどの行動が目立つようになった。先日、Aはデパートで必要とは思われない商品を次々とポケットに入れ、支払いをせずに店を出て、窃盗の容疑により逮捕された。現在は在宅のまま取調べを受けている。Bは、逮捕されたことを全く意に介していない様子のAについて、どのように理解し、対応したらよいかをCに尋ねた。 CのBへの対応として、最も優先度が高いものを1つ選べ。
- Aの抑圧されていた衝動に対する理解を求める。
- Aの器質的疾患を疑い、医療機関の受診を勧める。
- Aに内省的構えを持たせるため、カウンセリングを受けるよう勧める。
- Aに再犯リスクアセスメントを実施した後、対応策を考えたいと提案する。
- Aの会社や家庭におけるストレスを明らかにし、それを低減させるよう助言する。
平成30年度公認心理師国家試験に出題
70歳の男性A。Aはもともと穏やかな性格であったが、2年くらい前から非常に短気になり、気に入らないことがあると怒鳴り散らすようになった。天気が悪くても日課の散歩は毎日欠かさず、いつも同じコースを歩くようになった。また、散歩中に信号を無視することも多くなり、危険であるため制止すると興奮するようになった。
Aに認められている症状として、正しいものを2つ選べ。
- 強迫行為
- 常同行動◯
- 離人症状
- 見当識障害
- 抑制の欠如◯
平成28年度精神保健福祉士国家試験に出題
認知症又は認知症をきたす疾患に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 アルツハイマー型認知症では、手指の振戦、筋固縮、無動、姿勢反射が目立つ。
2 レビー小体型認知症では、記憶障害が主症状で緩徐に進行する。
3 クロイツフェルト・ヤコブ病では、幻視が先行し動作が緩慢になり前傾姿勢が目立ってくる。
4 パーキンソン病では、ミオクローヌスの出現とともに急速に認知症が進行する。
5 ピック病では、健忘より性格変化と社会機能の低下が特徴である。◯
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