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家族療法とは
1950年代より欧米を中心に発展してきた家族を対象にした療法の総称。家族を、個々の成員が互いに影響を与えあうひとつのシステムとして考える。家族は、下位システムとして機能する各個人やさまざまな個人の集まり(親子、夫婦、きょうだい)によって形成されている。
直線的因果律
起こっている問題は、特定の原因によりもたらされているという考え方。
円環的因果律
起こっている問題は、特定の原因によりもたらされたものではなく、互いに影響を与え合う中で、問題を維持しているという考え方。
IP(Identified Patient:患者と見なされた人)
クライエントではなく、家族を代表して問題を表現している人という意味でこう呼ぶ。
連合
家族のメンバー同士が目的のために結びつくことで、それによって問題が生じると考える。
権力
家族内の権力構造(ヒエラルキー)のこと。
境界
境界には、家族システムとそれを取り巻く社会の境界である外的境界と、家族内の親子・夫婦・兄弟姉妹などの世代間境界が存在する。世代間境界が不明確で、曖昧だと不健全な家族という見方をする。逆に境界が強固で支え合わない場合は、遊離家族と呼ぶ。
自己分化
家族のメンバーに自我が芽生え、分化の力が働き、自己を尊重する力によって家族内の力関係に影響が出るという考え。
ジョイニングとは
家族療法の中核的な概念。カウンセラーとクライエントの1対1のラポール関係に相当する考えで、家族の関係性の中に、仲間入りさせてもらう。家族にカウンセラーという仲間が加わることにより、仲間入りしながらもその固定化された関係性をずらしていく。ジョイニングには、以下の3つの技法がある。
伴走:家族のコミュニケーションにカウンセラーがついていく
調節:家族のコミュニケーションに、カウンセラーの言葉遣いや行動を適応させていく
模倣:家族のコミュニケーションやしぐさ、表情などを観察しそれに合わせる
第5回公認心理師試験に出題
問136 15歳の男子 A、中学3年生。A は、不登校状態のため友人と疎遠になり、話し相手は母親Bのみである。長年単身赴任をしている父親Cは、赴任先からたまに帰宅すると、Aの不登校について AとBを厳しく叱り、母子は口をそろえてCの無理解をなじる。高校進学を控えるAに対して、Cは全日制高校への進学を勧めるが、AとBは、Cと言い争った末に、通信制高校への出願を決めた。 家族システム論の観点から、Aとその家族関係を説明する心理学概念として、最も適切なものを 1 つ選べ。
- 連合
- 自己分化
- 遊離家族
- 親役割代行
- 情緒的遮断
第1回公認心理師試験(追加試験)に出題
問86 家族システム論について、最も適切なものを1つ選べ。
- 家族システムには上位システムと下位システムがある。
- 家族成員間の境界があいまいな家族を遊離家族という。
- G. Bateson の一般システム理論の影響を受けて発展してきている。
- 家族の中で問題行動や症状を抱える人を FP〈Family Patient〉という。
- 家族内で、1つの原因から1つの結果が導かれることを円環的因果律という。
第1回公認心理師試験に出題
アウトリーチ(訪問支援)で行う家族へのケアにおいて、特に初期に活用できる概念として、最も適切なものを1つ選べ。
- ジョイニング
- レジリエンス
- リフレーミング
- マインドフルネス
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