問1 サイコロジカル・ファーストエイドを活用できる場面として、最も適切なものを1つ選べ。
- インテーク面接
- 予定手術前の面接
- 心理検査の実施場面
- 事故現場での被害者の救援
- スクールカウンセラー の定期面接
PFA(Psychological First Aid:サイコロジカル・ファースト・エイド)は災害やテロに遭った子ども、思春期の人、親(保護者)、家族、大人に対して用いるために考案された 介入法。
問2 児童虐待について、緊急一時保護を最も検討すべき事例を一つ選べ。
- 重大な結果の可能性があり、繰り返す可能性がある。
- 子どもは保護を求めていないが、すでに重大な結果がある。
- 重大な結果は出ていないが、子どもに明確な影響が出ている。
- 子どもは保護を求めていないが、保護者が虐待を行うリスクがある。
- 子どもが保護を求めているが、子どもが訴える状況が差し迫ってはいない。
児童虐待の防止等に関する法律第6条(児童虐待に係る通告)
1 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。
「重大な結果」が出ていることは、通告義務の対象となる。
問3 14歳の女子A、中学生。摂食障害があり、精神科に通院中である。最近、急激にやせが進み、中学校を休みがちになった。Aの母親と担任教師から相談を受けた公認心理師であるスクールカウンセラー が、Aの学校生活や心身の健康を支援するにあたり、指示を受けるべき者として、最も適切なものを1つ選べ。
- 栄養士
- 学校長
- 主治医
- 養護教諭
- 教育委員会
第42条2項
公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。
公認心理師が指示を受けるものとして、明記されているのは「主治の医師」のみである。
問4 森田療法について、正しいものを1つ選べ。
- 「精神相互作用」の過程を重視する。
- 創始時に多く適用された対象は、統合失調症であった。
- あるがままに受け入れるアプローチは、「身調べ」に由来する。
- 原法の絶対臥褥(がじょく)期では、読書は行ってもよいとされる。
- 「ヒポコンドリー性基調」とは、注意が外界に向けられた他者に敏感である状態をいう。
森田療法は、「神経症」を対象とした。人は、注意と感覚の悪循環(精神交互作用)を起こすことで、益々不安になると考えた。絶対臥褥期は、食事・洗面・トイレ以外の一切を行わない。ヒポコンドリー性基調とは、いたずらに病苦を気にする精神的基調のこと。
問5 オペラント行動の研究の基礎を築いたのは誰か。正しいものを1つ選べ。
- A.Adler
- B.F.Skinner
- E.C.Tolman
- I.P.Pavlov
- J.B.Watson
A.Adler:個人心理学(アドラー心理学)を創始。
B.F.Skinner:オペラント条件づけの名付け親。
E.C.Tolman:新行動主義心理学の代表格。
I.P.Pavlov:「パヴロフの犬」という有名な実験を行った。
J.B.Watson:行動主義心理学の創始者。
問6 記憶の実験によって示される系列位置効果について、正しいものを1つ選べ。
- 初頭効果は、学習直後に遅延を置くと消失する。
- 系列再生法を用いた記憶の実験によって示されるものである。
- 親近効果は、長期記憶に転送された情報の量を反映したものである。
- 学習段階で単語の呈示時間を長くすると、リスト中間部の再生率は低下する。
- 系列位置ごとの再生率を折れ線グラフとして表した系列位置曲線は、U字型になる。
系列位置効果とは、人が何かを記憶する際に、記憶の対象の位置によって記憶状態に差異が見られる事。
最初にあるものが記憶しやすいことを初頭効果。終わりにあるものが記憶しやすいことを新近効果という。折れ線グラフにするとU字型になる。
問7 条件づけについて正しいものを1つ選べ。
- 貨幣やポイントを強化子とした条件づけを二次条件づけと呼ぶ。
- 古典的条件づけは、条件刺激と無条件反応の連合によって成立する。
- オペラント条件づけによる行動変容以前の行動頻度をオペラント水準と呼ぶ。
- 連続強化による条件づけは、間歇強化による条件づけよりも消去抵抗が強い。
- 古典的条件づけにおいては、逆行条件づけは順行条件づけよりも条件反応の獲得が良好である。
オペラント条件づけを参照。
- 貨幣やポイントを強化子とした条件づけはトークンエコノミー法。
- 古典的条件づけは、条件刺激と無条件刺激の連合により、反応が変化することをいう。
- オペラント条件づけによる行動変容以前の行動頻度をオペラント水準と呼ぶ。
- 連続強化による条件づけは、間歇強化による条件づけよりも消去抵抗が強いというのは逆。
- 古典的条件づけにおいては、逆行条件づけは順行条件づけよりも条件反応の獲得が良好であるは逆。
問8 パーソナリティや自我状態に関する心理検査について、正しいものを1つ選べ。
- MASは、多面的にパーソナリティを測定する検査である。
- IATは、顕在的意識レベルの自尊心の個人差を測定する検査である。
- NEO-PI-Rは、パーソナリティの6つの次元を測定する検査である。
- 東大式エゴグラムは、被験者の自我状態をP、A又はCの3タイプのいずれか1つに分類する検査である。
- YG性格検査は、パーソナリティの12の特性を測定する120項目への反応を通して被験者を典型的な型に分類する検査である。
MAS(Manifest Anxiety Scale:顕在性不安尺度)は、身体的不安・精神的不安を含めた不安のスクリーニングテスト。
IAT(Implicit Association Test:潜在的連合テスト)は、様々な社会的現象に対する潜在的態度を測定するテスト。
NEO-PI-R(Revised NEO Personality Inventory)は、人格を5つの次元から把握する人格検査。N:神経症傾向 、E:外向性、O:開放性、A:調和性、C:誠実性。5つの次元はさらに、6つの下位次元で構成される。
東大式エゴグラムは、53項目の質問に「はい」「いいえ」「どちらでもない」で回答し、5つの心の強弱によって自己理解を深める性格検査。CP:批判的な親、NP:養育的な親、A:大人、FC:自由な子ども、AC:順応した子ども。
YG性格検査は、問題文の通り。小学生用は96問。
問9 パーソナリティの特性に根源特性と表面特性とを仮定し、根源特性として16因子を見出した心理学者は誰か。正しいものを1つ選べ。
- C.R.Cloninger
- G.A.Kelly
- H.J.Eysenck
- J.P.Guilford
- R.B.Cattell
C.R.Cloningerは、TCI(Temperament and Character Inventory:気質性格検査)を開発。
G.A.Kellyは、パーソナル・コンストラクト理論を提唱。心のメガネ(コンストラクト)を通して、人は環境や物事を捉える。人のコンストラクトを把握することで、個々のパーソナリティを理解できるという考え方。
H.J.Eysenckは、特殊反応水準、習慣反応水準、特性水準、類型水準という4つの階層から性格特性を捉えた。モーズレイ人格目録(MPI)を考案。
J.P.Guilfordは、ギルフォード性格検査を考案。日本では、その検査をモデルに、YG性格検査が作られた。
R.B.Cattellは、問題文の通り。
問10 成人の脳波について、正しいものを1つ選べ。
- α波は閉眼で抑制される。
- α波は前頭部に優位である。
- β波はレム睡眠で抑制される。
- δ波は覚醒時に増加する。
- θ波は認知症で増加する。
α波は、閉眼で増加し、後頭部に優位である。β波は、レム睡眠時には増加する。δ波は、深い睡眠時に増加する。θ波の増加は、海馬の萎縮と関係があるとされている。
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